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不動産エコノミスト 吉崎 誠二(よしざき せいじ)
㈱船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者、(株)ディーサイン取締役 不動産研究所所長を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。 http://yoshizakiseiji.com

【第14回】データで解説!ワンルーム&ファミリー物件の最新キャップレート分析

2023年6月

 不動産投資で、よく耳にする「キャップレート」。多くの不動産投資家が気にしている数字です。今回の原稿では、キャップレートの活用方法と、最新の動向について解説します。

利回りと不動産価格の判断基準とは?

 キャップレートとは、Capitalization Rateを省略した言い方で、不動産投資における指標の一つで、期待利回りのことを指します。このキャップレートは、不動産投資家(あるいは企業)がどれくらいの利回りを期待しているかを集計して算出したもので、利回りの基準として用いられことが多い指標です。ある物件を購入しようかと検討している時に、「物件の利回りが妥当か」を判断する基準となります。
 キャップレートは、年間NOI(Net Operating Income)÷現在の物件価値(価格)で計算された値となります。
 また、収益還元法での物件価格の算定の際には、年間収益(NOI)÷利回り不動産価格という計算で求められますので、「投資をしようとしている価格が妥当か」の判断基準にもなりえます。
 こうしてみれば、NOIが一定とすれば、「キャップレートの動向は、投資用不動産価格の動向を反映したもの」、またもう少し広く捉えれば「不動産市況をを反映したもの」とも言えます。

キャップレートを左右するもの

 このようにキャップレートの動向は、不動産市況の影響を大きく受けます。市況がよければ数字は下がり、悪くなれば上がります。リーマンショック前後では、キャップレートは大きく上昇しました。

 キャップレートは期待利回りですから、リスクとリターンの関係と同じで、リスクが低いと判断されれば、キャップレートは低く、逆の場合は高くなります。そのため、地域、エリア(立地)や不動産の種別(オフィスビル、ワンルームマンション、ファミリーマンション、商業施設など)により変わります。
 
 言うまでもありませんが、不動産は個別性が高いため、似たような条件でも数字に差が付くこともありますので、あくまでも「判断材料、指標、の1つ」という感じで捉えておくとよいでしょう。

キャップレートの動向と投資熱

 キャップレートの動向をみれば、市況の盛り上がり度合いがうかがえます。キャップレートが低下傾向にあれば、「不動産投資意欲が旺盛」と判断され、逆に上昇傾向にあれば「意欲が低減している」と判断します。また、長期推移をみれば、様々な動向を知る事ができます。

最新のキャップレート動向

 キャップレートはいくつかの機関から公表されていますが、ここでは、(財)日本不動産研究所が2023年5月30日に発表した第48回「不動産投資家調査」(調査時点:23年4月:アセットマネジメント会社・デベロッパー・商業銀行・投資銀行・生命保険会社・不動産賃貸業などへのアンケート調査)のデータをもとにキャップレートの動向を解説します。
 住宅系では、東京(城南エリア)が、本調査開始以来最も低い値を更新(前回も最低値を更新)し、多くの主要都市でキャップレートは前回(22年10月調査)より低下しました。つまり、ここまでの解説の通り、投資意欲旺盛、価格上昇ということです。
 オフィスビルでは、多くのエリアで横ばい、低下地点は、東京赤坂、京都、広島のみとなり、国内で最もキャップレートの低い東京丸の内・大手町エリアでは、久しぶりに横ばいとなりました。それでも3.2%で2000年以降最低値となっています。
 宿泊特化ホテル(いわゆるビジネスホテル)では、国内移動が再び活発化、インバウンド観光需要の回復を受けて、札幌・名古屋・大阪・那覇で前回より低下しました。

賃貸住宅ワンルームタイプのキャップレート

 ワンルームタイプ(注:ワンルームタイプの設定は、25~30㎡、築5年未満、駅徒歩10分以内の想定)の賃貸住宅(一棟投資想定)のキャップレートは、調査を行った全国主要都市(10都市)のうち、東京城南・名古屋・大阪で0.1ポイント低下しました。それ以外の7都市では横ばいとなっています。

 図のとおり、東京城南(目黒区・世田谷区、渋谷・恵比寿へ電車などで15分圏内の駅と想定)では3.8%で過去最低を更新、他の都市においても過去最低水準にあります。 2012年以降、多くの都市では、キャップレートは、(時折横ばいの時もありますが)ほぼ右肩下がりで推移しています。このことからも、賃貸住宅への投資は一時的なブームという状況ではないと言えるでしょう。また、東京城南地域の想定物件の実際の取引における利回りは前回3.6%でしたが、今回はこれを下回り3.5%となっています。

 また、東京城東エリア(墨田区・江東区、東京駅・大手町駅へ電車で15分圏内想定)では、キャップレートは4.0%でこちらも史上最低水準が続いています。また、実際の取引における利回りは3.7%で、ともに前回調査から低下しました。このように23年に入っても極めて低いキャップレートで推移しており、東京都心はもとより、全国主要都市で、引き続き賃貸住宅投資熱の高さがうかがえます。

賃貸住宅ファミリータイプの状況

ファミリータイプ(注:想定は広さ50㎡~80㎡、築5年未満、駅徒歩10分以内の想定)でも同様に、全国主要都市のうち6都市(東京城南・横浜・名古屋・大阪・広島・福岡)で0.1~0.2ポイント低下しました。
 東京・城南地域(想定条件はワンルームと同じ)では、前回4.0%から3.9%へ下落、ワンルームと同様に調査開始以来最低となり、想定物件の実際の取引における利回りは3.6%となっています。
 また、東京・城東地域(想定はワンルームと同じ)では、4.1%でこちらも下落傾向にあります。実際の取引利回りは3.8%となっています。
 
 期待する利回り(=キャップレート)よりも、実際の取引利回りが低くなっており、つまり期待する利回りより低くても、不動産投資家の方々は物件を購入している現状にあるということです。

まだまだ投資意欲は高い

 「今後1年間の不動産投資に対する考え方」についての回答では、「新規投資を積極的に行う」の回答が96%もあり、前回よりも1ポイントの上昇、逆に「新規投資を控える」の回答は3%に留まり、前回調査から2ポイント低下しました。

 当面は金融緩和政策が続く見通しで、不動産市況はまだまだ活況が続きそうです。

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