【第5回】 不動産投資戦略(その5)「婚活と不動産投資の共通点」
長谷川高
長谷川不動産経済社代表。
デベロッパーの投資担当として企画開発事業に携ったのち1996年に独立。
以来一貫して、個人・法人の不動産に関するコンサルティング、調査、投資顧問業務を行う。
講演やメディアへの出演を通して、不動産の市況や不動産購入・投資術をわかりやすく解説している。
著書
『愚直でまっとうな不動産投資の本』(ソフトバンククリエイティブ)、
『不動産投資 これだけはやってはいけない!』(廣済堂出版)
『はじめての不動産投資』 (WAVE出版)など。
【第5回】
不動産投資戦略(その5)「婚活と不動産投資の共通点」
私は、必ず(不動産)投資をしたいという方に会うと「何故投資したいと思うのか?」と冒頭に聞くようにしています。
ある男性の答えが今風で興味深かったのでご紹介したいと存じます。
その方の動機は「仲の良い友人が嫁さんをもらい、それが羨ましくて、私は投資したいと思うようになりました」と。・・・??
この方の話の続きを要約すると、
「職場の仲の良い友人が結婚した。そのお嫁さんが派遣社員で毎月約10万円程度稼いでくる。友人いわく『二人で生活を始めたら、家賃や光熱費が2倍掛かると思ったら、一人暮らしの時とそれ程変わらなかった。よってお嫁さんの毎月の稼ぎ月10万円が非常に有り難く、生活が豊かになった』と。この話しを聞いて友人が羨ましくなった。自分は当分結婚できそうにないので、お嫁さんの代わりに毎月10万円程度稼いでくれる物件への投資を考えている。」と。
初めて聞いた、「嫁」の代わりに「不動産」という実にユニークな視点?からの動機だったのです。確かに自分以外に月10万円稼いでくれる何かがあったらいいですよね。
逆に女性の立場から考えると実は「婚活」という行為も「投資」行為と実に多くの共通点が・・・?と、その時感じたのです。
女性が婚活する上で男性を選ぶ基準は様々あるでしょうが、ルックスや学歴や性格以外に、やはり勤めている「会社」や「年収」といったことも重要になってくるかと思います。
「男性の勤務先が大手有名企業であれば、毎月のインカムは将来に渡り安定している」と素人でも容易に想像できます。(この辺の「有名企業」の将来性が、実は近年益々怪しくなってきている現状はありますが、あくまで一般論です)
「婚活」と「投資」を比べながら、類似点や注意点(リスクヘッジの手法)にも幾つかの共通点があると感じますので幾つか述べさせて頂きます。
1)「立地(職)があまり良くないのに不思議とインカム(年収)が高い物件(人)には注意」
不動産の世界では当たり前なのですが、投資の成否が分るには若干長い時間がかかります。(恐ろしいことに結婚も同じでしょうか・・・・)
一時的にインカムが良い物件に惑わされてはいけません。3年後には、空室率上昇と家賃低下で収入20%ダウンということも起こり得ます。(では、どうやって見抜くか?不動産なら徹底的な調査でしょうが、対象が人間なら、その人がもっている「人柄」と「生きる力」をみるしか術がないような・・・。)
2)「ぱっと見の外見だけに惑わされない」
不動産において、外壁も内装もお金を掛ければ美観的には相当ハンサムになります。
特に中古マンションの内装などは300万円程度掛ければ、バスもトイレもキッチンも床も30歳は若返ります。
しかし、給排水管やガス管が劣化していても素人目には分りません。肝心な所は目に見えない場合が多いのです。
以前、雨が降ると床に水溜りができる築35年のマンションを見ました。外壁に亀裂が出来て雨漏りしているのです。そのマンションも300万円程度掛ければ、見た目だけは相当ハンサムに仕上がります。ぱっと見に騙されないようにしないといけないのは不動産選びも婚活も同じように感じます。
3)「投資は前のめりになった時、失敗するリスクが高まる」
これは、例えば「何日までには必ず投資するぞ!」と自分に誓い、焦って投資した場合、投資不適格物件を買ってしまうリスクが高まることです。
婚活も「何月までには絶対相手を・・・」といって期限を切っても成功するようには到底思えないのです。
良い物件と巡り会うのは一に「努力」ですが、二に「運」が必要です。そしてこの「運」は友人であったり飲み会であったり、時には広告であったりと、きっかけは他人が持ってきてくれることが多いのです。
よって期限を自分で決めて焦って投資してよいことはないかと・・。
4)「迷った時は休む」
周りの雰囲気や状況に押されて、それ程でもない物件を高値掴みしてしまうことはできれば避けたいものです。よって「迷った時は、一旦休む」
しかし、投資の世界でもこれがけっこう難しいのです。一旦休んで一息入れて仕切り直すというのが。(これも相通じるような・・・。)
5)「自分の価値を高めるのが最短距離」
投資の世界では、「結局(お金持ちの所に情報が集まり)お金持ちだけがどんどん豊かになっていく」といったことがよく言われます。半分は当たっていると思います。これは、情報の問題だけではありません。お金持ちは、もうお金が十分あるので「待てる」のです。そして「これぞ!」といった時(つまり不動産価格が下落し、普段は買えない良い物件が目の前に現れた時に)投資するのです。
それ以外の時はどうしているのか?彼らは猛烈に勉強し、自己投資しています。
さらに言うと、彼らの様に資金力をアップするには、本業で自分の価値を高め、収入を上げるしかありません。それには、当たり前ですが、本業に人一倍励み、それにプラスになるようなあらゆる自己投資をするしか方法がありません。
婚活の成功の秘訣も結局は「自分の価値を高める」ことが肝心だと思います。これも何故か共通しているように感じます。
いかがでしょうか?
「婚活」と「不動産投資」意外と共通点があると思いませんか?すべての項目がすべての方に当てはまるとは思いませんが、あながち間違いでもない、と感じていただければ幸いです。
最後に不動産投資において、各項目を簡単に整理しておきますので参考になさって下さい。
1)2)は残念ながら素人には解決する術はありませんので専門家の方やコンサルタントの方に相談するのが良いでしょう。
4)5)はどうでしょうか。これはやる気になれば誰でも出来ることですが、難しいのはやる気になることですね。
残る3)は?実はこれが一番やっかいなことかも知れません。焦って前のめりになっていると、冷静に物事を判断出来なくなっているかも知れません。
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