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住宅コンサルタント 野中 清志(のなか きよし)
株式会社 オフィス野中 代表取締役。大手マンションディベロッパーの営業を経て、ワンルームマンションディベロッパーにて執行役員を歴任。2003年に株式会社オフィス野中を設立。 「お客様の立場に立った購入アドバイス」を実践し、不動産の豊富な知識と業界30年の経験を活かしたコンサルティングをおこなう。

グローバル化が進む日本の不動産投資マーケット

 様々な分野でグローバル化が進む中で、日本の不動産投資市場も海外からの影響を受けるようになってきました。東京などの大都市が世界的にも大きな規模を持ち経済においても大きな影響を与えていることから、逆に海外からの影響も受けやすくなってきているのです。今後の不動産投資市場の動きを考える時には海外情勢も重要なポイントとなってきています。

 米国大統領に就任したドナルド・トランプ氏の政策の中には法人税の減税・インフラ投資があり、これらの政策は景気を刺激し利上げのペースが速まる可能性があります。米国の金利が上がることにより日米金利差が拡大し、ドル高・円安になる可能性が高まってきました。

 またトランプ大統領は金融規制緩和を政策の一つとして掲げています。規制緩和によりアメリカの建設業界や不動産業界の各種建築許認可事案なども緩和され、個人が住宅を購入する際の金融機関からの融資条件の見直しや緩和等につながり、アメリカの住宅価格の上昇に影響を与える可能性が高くなってきました。

 アメリカの住宅価格が上昇に向かうと相対的に東京の不動産価格の割安感が台頭してくるでしょう。このように東京の不動産はますます国際化していきます。

不動産投資市場における「逆転現象」とは?

 以前はマンション投資と言えば中高年の方がその主役であり、部屋を借りる方は20歳から30歳前後と比較的若い世代が中心となっていました。ところが最近では、いささかその状況が変化しているようです。
 その背景にはまず20~30代という若い世代の投資家が非常に増えてきた事が挙げられます。
 その理由として
①歴史的な低金利により毎月の家賃収入とローンの差額、つまり持ち出し額が極めて低額で不動産投資が始めやすくなった事
②若い世代の方々は将来の年金に対する信頼度が中高年層と比べて低い事
などが挙げられます。

 また部屋を借りる方の年齢も上昇傾向にあります。その背景には
①男性女性とも初婚年齢が30歳前後と高まっていること
②50歳の時点で結婚をしていない人の割合が男性で約23%、女性で約13%と高くなっていること
③離婚率も依然高い水準を示している事
以上の3つの理由があると考えられます。

 筆者は10年位前に講演した際にお客様から「先生、今後日本は少子高齢化となる中で若い方が減少しワンルームマンションの入居者も減るのではないでしょうか」という質問を受けたことがあります。
 
 現在ではワンルームマンションの入居者における年齢層は非常に厚くなっており、さらに東京都の「アジアヘッドクォーター」、これはアジアの諸外国を中心に優良な企業・人材を東京に招き入れて経済をより活性化する政策ですが、こういった国際化を進める政策も実施されています。こうした中で就業人口も増加し、若い方の賃貸ニースも増えていくのではないでしょうか。
 
 このように若い方から中高年まで幅広い賃貸需要層が形成されていることは不動産投資を活性化する大きな要素となると思われます。

ますます二極化が進む不動産投資市場?

 2017年はまず、地価において「二極化」が進む可能性があります。ここで言う「二極化」とは単に「郊外と都心部」という狭義の視点だけではありません。同じ都心部においても新線・再開発・公共投資、さらに外資の投資などが加速する「商業地域」と「住宅地」の地価の差がますます拡大化する傾向となるでしょう。

 その背景には、日本が2020年の東京五輪に向けて観光立国を目指す中でホテル不足がクローズアップされており、現在ホテル開発業者と不動産業者により、エリアによっては土地の取得合戦が展開されている事があります。

 ホテル用地もワンルームマンションも共通点は
①きわめて利便性・交通アクセスの良い立地に建設される
②両者とも商業地域に建設される(ワンルームマンションにおいては商業地域以外の土地に建設されることは希にありますが)となっており、訪日外国人の増加が日本経済のみならずワンルームマンション用地にも影響を与える状況となってきています。

人口減社会での不動産投資

 今後日本は少子高齢化社会となることは確実視されています。しかし人口が減少してくると、人口は都心部に集中する傾向が見られます。総務省のデータによると、2016年の東京都は20年連続で人口が転入超過となっています。東京以外でも、北海道では人口は減っていますが札幌市は増加、九州全体でも人口減ですが福岡県は増加、大阪府でも人口減の中、大阪市では人口は増加となっています。

 このように人口・地価の二極化傾向は続くのではないでしょうか。現在日本で働いたり学んだりする外国人も増えており、その数は4年連続増加傾向で100万人を超えています。
 
 女性の社会進出も増えており、政府は女性の社会進出を推進しています。不動産投資・賃貸需要においては新たな需要層の拡大により、より不動産投資業界が活性化していると思われます。

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