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国際認定テクニカルアナリスト 横山 利香(よこやま りか)
金融系出版社で記者・編集者の経験を活かし、国際テクニカルアナリストとして株式や不動産を中心に資産運用をテーマに執筆活動を行うほか、セミナー講師としても活動中。自身で投資初心者向けの投資勉強会「投資力向上委員会」を主宰しているほか、個人投資家向けにYouTubeチャンネルも運営中。不動産好きが講じて、DIY女子としての一面も持つ。 https://yokoyamarika.com/

【第2回】コロナショックでも堅調な状況が続く不動産市況とREIT市場

■経済活動が制限されても、不動産投資には高い注目が集まる

 新型コロナウイルス感染症が流行したことで、2020年は世界中で経済活動の停滞を強いられました。日本国内も同様で、緊急事態宣言等の発令によって飲食店をはじめとした多くの店舗が休業や営業時間の短縮等を強いられる状況が続いています。ビジネス街を見渡せば、緊急事態宣言が発令されるたびに空き店舗が増えていると感じている人も多いのではないでしょうか。オフィス仲介大手の三鬼商事株式会社の発表によると、東京都心のビジネス街では、オフィスビルの空室率が15ヶ月連続で上昇しているとのことですから、空室がじわじわと増えている状況なのでしょう。

 景気動向に応じて、オフィスビルや商業施設、マンション等の賃貸状況は変化します。景気が低迷すれば空室率は上昇し、結果、賃料は下落します。反対に、景気が上向くと空室率は低下し、賃料は上昇します。不動産市況は経済動向と密接な関係にありますが、不動産投資には根強い人気があります。不動産投資が人気を集める理由としては、不動産価格の上昇に加え、定期的に得られる家賃収入があげられるでしょう。

 不動産に投資する主な方法としては、実物の不動産を購入する方法以外に、不動産関連の株式を購入する方法、不動産に投資する投資信託(以下、REIT=不動産投資信託)を購入する方法があります。この中でも、コロナショック以降に個人投資家の注目を集めているのがREITです。REITは、多くの投資家から集めた資金で複数の不動産等を購入し、その賃貸収入や売買益を投資家に分配する投資信託です。REITを活用することで不動産に少額からの投資が可能となることもあり、個人投資家から人気を集めています。オフィス系や商業施設系、住居系等、日本国内には数多くのREITがあり、これら全体を表す指数としては「東証REIT指数」があります。


REIT一覧

■分配金の高い利回りで人気を集めるREIT市場

 2020年に新型コロナウイルス感染症の流行が拡大してコロナショックが発生した時、不動産市況が悪化するのではと懸念が高まり、東証REIT指数の価格は大幅に下落しました。ただ、その後は急速に値を戻しておよそ2倍ほど値上がりし、コロナショック前まであとわずかといった水準まで上昇しました。こんなにも東証REIT指数が大幅に上昇した背景としては、株式で得られる配当金よりもREITの分配金の利回りが高いことがあげられるでしょう。さらに、緊急事態宣言の発令等で休業や営業時間の短縮等を強いられたオフィス街で、ワクチン接種によって経済活動が再開し、そろそろ以前のような状況に戻って賃料の上昇につながるのではないかという思惑もあります。ビジネス系の不動産市況が底入れするだろうといった期待から、ビジネス系や商業系のREITに買いが断続的に入っている可能性も考えられます。

 分配金の利回りを具体的に見ていきましょう。分配金の利回りは、分配金額をREITの購入価格で割り、100をかけることで求めることができます。

*分配金・配当金の利回り=(分配金・配当金÷REITの購入金額)×100

 算出式を見てわかる通り、分配金額が変わらないのであれば、REITの購入金額が安ければ安いほど利回りは高くなります。分配金は年に2回支払われるのが一般的となっています。

 利回りが高い主なREITをご紹介すると、「トーセイ・リート投資法人(3451)」はトーセイをスポンサーとする総合型のREITで、2021年6月現在の利回りは5%超となっています。また、東京圏以外の地方物件を投資対象として分譲マンション開発や市街地再開発を手掛けるマリモをスポンサーとする総合型REITの「マリモ地方創生リート投資法人(3470)」も、2021年6月現在の利回りは5%超となっています。「この低金利時代に5%とはすごい!」と驚かれる方も多いかもしれませんが、利回りが5%前後のREITは他にも存在します。というのも、REITは収益の90%超を分配するなど一定の条件を満たせば実質的に法人税がかからず、内部留保もないので収益がほぼそのまま分配金として支払われる仕組みになっているからです。2021年6月現在、REIT の分配金の平均利回りは3%を超える水準で、超低金利の金融緩和が続く状況では利回りの高さが際立っています。

 一方、日本の株式市場はといえば、日経平均株価が一時3万円を突破するなど株高の状況が続いています。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行拡大で業績悪化を余儀なくされる企業も多く、業績悪化によって配当金を減額したり、無配に転じる企業も出てきています。そうした背景もあって、日経平均株価の平均配当利回りは1.5%を超える程度という状況です。配当金と分配金の利回りと比較するとREITが倍くらいの水準ですから、REITが人気を集めるのも納得というところでしょう。

■REITのデメリットは株式市場との連動性の高さ

 ここまでREITの魅力について言及しましたが、REITのデメリットにも触れておきたいと思います。REITは証券市場に上場している投資信託のため、価格動向は株式市場との連動制が高い点があげられるでしょう。コロナショックの時には世界的に株式市場が下落しましたが、その際に東証REIT指数も暴落しました。REITは不動産投資というよりも、どちらかといえば金融商品としての側面が強いと考えることができます。

 一方、新型コロナウイルス感染症の流行で在宅ワークが普及したこともあり、不動産は需要が供給を上回るような状況が続き、価格が大きく下落する事態にはなっていません。国土交通省が発表した資料によると、不動産価格(住宅)は緩やかな上場傾向が続いていますし、不動産価格指数(商業用不動産)も用途にはよりますが、下落が続いているという状況ではありません。株式市場の暴落に巻き込まれにくいという点で考えると、REITよりも実物不動産のほうが優れていると言えるかもしれません。


※国土交通省プレスリリース(令和3年5月31日)

 不動産市況は経済動向や株式市場とも密接に関連しています。そして、投資家は、REITや株式、実物不動産といった様々な方法で不動産に投資することができます。自分にあった不動産との関わり合い方を考えて、いろいろな不動産投資に取り組むことが有意義と言えます。

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