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不動産エコノミスト 吉崎 誠二(よしざき せいじ)
㈱船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者、(株)ディーサイン取締役 不動産研究所所長を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。 http://yoshizakiseiji.com

【第11回】最新! 2021年公示地価を読み解く。21年後半はどうなる?

―コロナショック以降初の公示地価
―6年ぶりのマイナス
―東京圏の状況
―東京中心部の状況
―20年の前半に大きな落ち込み回復のキザシは
―まとめ

コロナショック以降初の公示地価

 3月23日夕方に21年分の公示地価が国土交通省より発表されました。毎年3月20日ごろに発表される公示地価ですが、「価格時点は1月1日」とされています。そのため今年分は、新型コロナウイルスの影響が出始めて以降初の公示地価ということになり、大きな注目を集めました。
 
 公示地価は1月1日時点の土地価格を、国土交通省が地価公示法に基づき調査・発表するもので、「一般の土地の取引価格に対する指標」として、また「公共事業用地の取得価格算定、収用などの際の規準」として活用されます。また、大都市圏での実際の取引価格は、特に市況が上向きの時は、公示地価(㎡単価)よりも、だいぶ高くなるのが一般的です。

6年ぶりのマイナス

 21年1月1日時点の公示地価は、全用途(住宅・商業・工業)の全国平均では前年比0.5%のマイナスとなり、昨年までの5年連続のプラスから一転、6年ぶりにマイナスとなりました。新型コロナウイルスの影響ははっきりと出ており、三大都市圏(東京圏、名古屋圏、大阪圏)はいずれもマイナス、地方圏全体でもマイナスとなりました。また、下落の幅は住宅エリア、商業エリア、オフィスエリア…、という「その土地の使われ方」により差がありました。
 全国の住宅地はマイナス0.4%(前年はプラス0.8%)、商業地はマイナス0.8%(前年はプラス3.1%)とともにマイナスですが、商業地の落ち込みの方が住宅地に比べ圧倒的に大きくなっています。また、様々な要因でプラスになっている所も散見されます。

東京圏の状況

 公示地価データにおいて国土交通省資料では、3大都市圏を、「東京圏」「名古屋圏」「大阪圏」に分けています(首都圏、関西圏、中京圏の方がしっくりきますが・・)。その東京圏では全用途でマイナス0.5%(前年はプラス2.3%)、住宅地はマイナス0.5%(前年はプラス1.4%)、商業地では、マイナス1.0%(前年はプラス5.2%)となりました。
 特徴的だったのは、商業地地価において東京23区全てで下落になった事です。とくにインバウンド観光が多かった台東区などでの下落幅の大きさが目立ちました。銀座・浅草・新宿歌舞伎町などの商業地では2ケタのマイナスとなっており、新型コロナウイルスの影響が大きく出た結果となりました。商業地は全体的にマイナスながらも、飲食・小売りなど主体のエリアのマイナスが大きく、丸の内や大手町のようなオフィスエリアはそれほど大きなマイナスではありませんでした。
 
 一方、住宅地では、港区と目黒区を除く東京23区の大半で、各区わずかですがマイナスとなりました。細かく見ると、都心一等地で希少性の高いエリアや利便性の高いエリアなどではプラスが続いています。しかし、こうしたエリアにおいても、上昇地点数は例年に比べ少なくなりました。

東京中心部の状況

 ワンルームマンションが多く建つ東京都区部やその周辺を見てみると、公示地価(住宅地)で前年比プラスなエリアは、都区部では港区と目黒区のみ。その他は、ほんのわずかですがマイナスとなっています。そのなかでも大きなマイナスは練馬区のマイナス0.9%でした。
 周辺部では、稲城市がプラス0.7%でしたが、それ以外にマイナスではなかったのは、±ゼロの武蔵野市、府中市、調布市のみとなりました。

20年の前半に大きな落ち込み回復のキザシは

 20年3月中頃以降から緊急事態宣言解除(東京は5月25日)までは、ぱったりと街から人がいなくなるという時期がありました。また現在もインバウンド観光客は皆無に近く、観光地は大苦戦となりました。宣言解除後、20年後半からは景気の持ち直しがあり株価などは大きく上昇しました。こうした動きが公示地価に色濃く出ています。

 毎年9月に発表される都道府県地価と同一地点(東京都では209地点あります)に限った公示地価では、東京都(住宅地)は年間ではマイナス0.8%でした。
 これを前後半に分けると、前半はマイナス0.8%(1月1日~7月1日までの変動率)でしたが、後半は±0%(7月1日~21年1月1日までの変動率)となり、前半のマイナス分を後半でカバーしきれなかったという状況です。これを区部に限れば、年間ではマイナス0.6%、前半はマイナス0.6%(同)で、後半は±0%(同)となっており、区部の方が前半の落ち込みが少なくなっていますが、同様に後半の盛り返しが及ばなかったと言えるでしょう。

まとめ

 21年の公示地価だけをみると、新型コロナウイルスの影響が色濃く出て、回復基調にあるが、20年1月と21年1月の年単位で比較するとマイナスとなるところが多くなりました。
 しかし、実際の実需用マンションの売れ行き、投資用のンション(区分、1棟)の売れ行きともに20年21年とも好調が続いています。年2回(4月・10月)のキャップレートの推移を見ても、レジデンス投資における期待利回りに大きな変化は見られません。
 このように、20年~21年前半の住宅系不動産の市況は、1回目の緊急事態宣言中に大きなショックがあり落ち込みましたが、その回復は早かったと言えるのではないでしょうか。そして21年後半も今のような安定した状況が続くものと思われます。

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吉崎 誠二

不動産エコノミスト
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