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国際認定テクニカルアナリスト 横山 利香(よこやま りか)
金融系出版社で記者・編集者の経験を活かし、国際テクニカルアナリストとして株式や不動産を中心に資産運用をテーマに執筆活動を行うほか、セミナー講師としても活動中。自身で投資初心者向けの投資勉強会「投資力向上委員会」を主宰しているほか、個人投資家向けにYouTubeチャンネルも運営中。不動産好きが講じて、DIY女子としての一面も持つ。 https://yokoyamarika.com/

【第4回】民法改正を機に活用が進む不動産賃貸業における保証業務とは

■連帯保証人という概念が民法改正で大きく変わった

 ワクチン接種が進み、世界各国が従来の日常生活を取り戻し始めていたところにデルタ株の感染が拡大し、経済活動への懸念が高まり始めています。日本も同様で、東京都等を中心に年明け以降緊急事態宣言が繰り返されているにもかかわらずデルタ株の感染拡大が止まらないことで、再びテレワークの徹底を呼びかける状況になっています。新型コロナウイルス感染症の流行に終わりが見えない状況に、1年以上にわたってテレワークを続けている人の中には仕事環境を少しでもよくしたいと考えている人も多くいるようです。総務省が発表した住民基本台帳人口移動報告によると、2021年は年度変わりの3月と4月以外、東京都では転入よりも転出する人が多くなっていることが明らかになっています。新型コロナウイルス感染症に感染する不安や、度重なる行動制限等に嫌気がさした人たちが人口密度の高い地域を避け、同じ家賃水準でも広いお部屋に住める地域に引っ越しを考えている人が増えているのかもしれません。
 新たなお部屋を探している時は楽しみも多いですが、お部屋を借りる時には入居審査があり、そのお部屋を必ず借りられるとは限りません。さらに万一の場合に備えて、これまでは両親等の親族を連帯保証人とする場合が一般的でした。しかし、たとえば家賃滞納をし続けた時には際限なくそれを保証しなければならず、両親や兄弟等を連帯保証人とするケースであっても負担の大きさが問題となっていました。こうした背景もあって2020年4月に民法が改正され、この連帯保証人の制度が大きく変わりました。民法改正によって、連帯保証人が保証しなければならない債務の限度額を決めなければいけなくなったのです。

■不動産業界で普及する保証制度の利用

 一般的に、連帯保証人の極度額は家賃2年分あたりが目安と言われています。たとえば家賃が10万円の場合、240万円が極度額の目安になります。しかし、極度額を超えてしまうような事態が発生した場合、超えた分は連帯保証人が支払ってくれないことになりますから回収が困難となり、大家さんとしても不動産管理会社としても大問題です。そこで民法改正を機に、近年は保証会社を利用するケースが増えてきています。保証会社とは、賃借人が一定の保証料を支払うことで、事業として連帯保証人を引き受けてくれる会社のことです。

 不動産投資を始めたいと考える人の多くが、不動産投資のメリットとして安定した家賃収入をあげることでしょう。ただその一方で、すべての人が家賃を定期的に支払ってくれるとは限らないため、家賃の滞納も不動産投資のリスクの一つとしてあげられるのです。入居者がいても家賃が支払われなければ、安定した不動産経営を行うことが難しくなります。しかし保証会社を利用すれば、家賃の滞納があった場合には保証会社が家賃を立て替えてくれますから、安定した家賃収入を確保できるのです。また、最近は少子高齢化や非婚化が進んでいる影響で、高齢となった両親等親族が連帯保証人をつけられない一人暮らしの人も増加しており、連帯保証人をつけることが困難な場合もあります。その場合には保証会社を利用することでお部屋を借りられるようになりますし、大家さんや管理会社としては家賃滞納といったリスクを解消することができるようになります。

 不動産業界でも民法改正以前から、保証会社の利用をオススメする動きが出ていましたが、2020年の民法改正を機に保証会社の利用が普及し始めています。というのも、入居者側としては限度額を明示しなければならなくなったことで連帯保証人になることをためらう人も出ますし、大家さん側としては限度額以上の回収が困難となる事態を避けるために連帯保証人を利用することをためらう人も出てきているからです。そうした背景もあって、今後は保証会社の利用が一段と進むことになるでしょう。

■家賃の支払い方法も良い意味で変わっている

 家賃の振込といえば、これまでは通常、前月末までに指定された銀行口座に入居者が振込手数料を支払って、毎月家賃を振り込むという流れでした。最近は、インターネットバンキングで振込が行えるようになってきているとはいえ、入居者としてはわざわざ振込を行う手間や手数料が発生していました。

 しかし、保証会社を利用することで、入居者は家賃の振込を自動引き落とし等で行うことができるようになります。そして、保証会社が大家さん側に家賃を送金してくれますので、大家さんとの付き合いも不要になります。たとえば、給与が減額される等して家賃の振込が期日までに困難になった場合でも、保証会社を利用すれば立て替えて大家さん側に送金してくれるのです。こうした保証業務を手掛けている企業としては、事業用不動産から住居向け不動産までの保証を手掛けるジェイリース<7187>や、個人の大家さんでも利用できる保証サービスを手掛けるCasa<7196>、他にはあんしん保証<7183>などがあげられます。

 また最近は、保証会社によってはクレジットカード等を利用して家賃を支払うこともできるようになっています。最近はクレジットカードの決済でポイントを貯める節約法が流行っていますが、クレジットカードを利用して家賃を支払うことでクレジットカードのポイントが貯めることができるのです。家賃は毎月発生する決済ですし、金額も大きいですから、貯まったポイントも多くなるので嬉しい限りです。貯まったポイントは他の買い物等にも利用することができますから、家賃の支払いもお得に活用できるようになってきているのです。

 たとえば、若者向けの衣料品の販売等を行う丸井=丸井グループ<8252>では「エポスカード」というクレジットカードを発行しています。丸井グループでは「ROOM iD(ルームアイディ)」という家賃保証のサービスも手掛けていて、エポスカードを利用することでクレジットカードで家賃の支払いが行えるようになります。丸井でよくお買い物をしている場合には、家賃の支払いでポイントを貯められますので大変お得になります。この他には、大型ショッピングセンターのイオンモール等を全国展開するイオン<8267>では、イオンカードを発行しています。イオンでは「イオンカード de 家賃」のサービスを展開していて、イオンカードで家賃を支払うことでポイントを貯めることができます。

 民法改正を機に連帯保証人制度が変わったわけですが、それをチャンスととらえて新たなサービスを提供する企業も登場しています。毎月支払う固定費もクレジットカード等の決済方法を利用することで、自らの生活にお得に還元することができるようになってきています。そうした保証会社を探してみてもおもしろいかもしれませんね。

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