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国際認定テクニカルアナリスト 横山 利香(よこやま りか)
金融系出版社で記者・編集者の経験を活かし、国際テクニカルアナリストとして株式や不動産を中心に資産運用をテーマに執筆活動を行うほか、セミナー講師としても活動中。自身で投資初心者向けの投資勉強会「投資力向上委員会」を主宰しているほか、個人投資家向けにYouTubeチャンネルも運営中。不動産好きが講じて、DIY女子としての一面も持つ。 https://yokoyamarika.com/

【第6回】感染症の影響を受けて、住宅設備機器が品薄状態に!

■ロックダウンが長引く新興国でサプライチェーンの混乱が発生

 日本国内では新型コロナウイルス感染症のワクチン接種2回目を完了した人が6割を超えました。ワクチン接種が順調に進んでいることもあって感染者数も全国で減少しており、東京をはじめとした首都圏でもようやく緊急事態宣言が解除されました。コロナ以前とまったく同じ状況とまではいかなくても、待ちに待った緊急事態宣言の解除で日常生活が少しずつ戻り始めていると感じている人も多いことでしょう。街中に人が増えている様子を見ても、感染への不安から自粛生活を送っていた人が宣言解除とともに少しずつ行動し始めている証だと言えるでしょう。

 ただ、世界各国でワクチン接種が進んだおかげで、世界経済も一斉に動き出しました。日常生活が戻ってくるのは喜ばしいことですが、日常生活が一気に戻ったことによる混乱も起こっているようです。というのも、東南アジア諸国をはじめとした新興国では新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続いていることからロックダウンが長引き、経済活動が再開する時期やスピードはどうしてもワクチン接種が進んでいる国々よりもゆっくりとしたものにならざるを得ません。そのため、現地工場の生産がフル稼働できる状況になるまでに時間を要していて、サプライチェーン(供給網)が混乱している状況が新興国を中心に発生しているようなのです。

■サプライチェーンの懸念は自動車から住宅機器までに及ぶ

 自動車業界では半導体の供給不足が世界的な懸念材料となっていますが、加えて東南アジア諸国の工場がロックダウンしたことによって様々な自動車部品の生産に遅れが発生しているのです。これは自動車業界だけに限ったことではなく、多くの業種にまで及んでいて、私たちが日々当たり前のように利用している住宅設備機器にまで影響が出ています。というのも、住宅関連銘柄が相次いで住宅設備機器が不足している内容のニュースリリースを発表したこともあって、住宅設備機器不足がいつまで続くのかと懸念が高まっている状況があるのです。

 たとえば、大手ガス給湯器メーカーのノーリツ<5943>の発表によると、部品を生産している工場のあるベトナムでは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によってロックダウンが長期化していて、必要な部品をベトナムから輸入できなくなっているとのこと。その結果として、日本国内での給湯器等に不足が発生して納期に遅れが生じているそうです。これはノーリツに限ったことではなく、リンナイ<5947>も同じような状況に陥っているようです。また、TOTO<5332>もベトナムのロックダウンの影響を受けているようで、トイレのウォシュレット製品全般にわたって生産活動に支障をきたしているようで、その結果ウォシュレット製品の納期に遅れが生じているそうです。

 日本国内では緊急事態宣言が解除されて日常生活を取り戻しつつある一方で、いまだ感染が拡大している国もあることによって、世界的なサプライチェーンの混乱が発生する事態となっているのです。つい数カ月前には、ワクチン接種が進んだ国々の経済活動が活発化したことで一斉に住宅等が建築され、その結果木材が不足して木材価格が高騰したウッドショックが起こったのは記憶に新しいところです。米国シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の木材先物価格は一時1,500ドルを超えるまでに上昇しましたが、現在は住宅着工の落ち着きとともに値下がりし、700ドル台までに戻ってきています。東南アジア諸国の感染状況次第で時間はかかるかもしれませんが、住宅設備機器不足もいずれ落ち着いていくことでしょう。ただ、住宅設備機器の品薄状況はもうしばらく続くでしょうから、価格上昇も避けられないでしょう。

■日頃から住宅設備や電化製品の寿命を確認しておこう

 私たちが日々当たり前のように使っていた給湯器が故障したら、冬場を前にお湯が出ないといった事態に陥ります。現状、これらの製品の納期に遅れが生じていることもあって、修理や交換ができない可能性が出てくるわけです。お風呂にも入れないという状況になれば、日常生活は大きく支障をきたしてしまいます。電化製品は購入してから10年あたりを機に、一斉に故障しだすということはよくあることです。日頃から住宅設備機器についても導入年数等は確認しておいたほうがいいでしょう。

 最近は住宅設備機器のオンライン販売もよく見られるようになってきました。たとえば、交換できるくん<7695>はインターネット上で住宅設備機器の本体と工事をセットで販売しています。また、SANEI<6230>は給水栓を中心とした水回り製品を展開していて、新型コロナウイルス感染症の対策として非接触が好まれているようです。主に日本国内で生産しているようです。

 ここ数年、インターネットで多くの住宅設備機器が安く購入できるようになってきました。しかし、住宅設備機器については工事を行わなければならない場合がほとんどですし、加えて、多くの場合が修理や交換を今すぐにしてほしいという場合がほとんどです。緊急を要する場合が多く、生活用品等をインターネットで買うようにいかない場合がほとんどですから、緊急時に対応してくれるお店等を日頃から調べておいてもいいかもしれません。

 ワクチン接種が日本国内で順調に進めば、経済活動も再び活発化し、以前のような日常生活が戻ってくるものだと多くの人が思っていたことでしょう。しかし、経済活動のグローバル化が進んでいる現状、他国の感染状況に経済活動が影響を受ける事態となっています。日頃から住宅設備機器の動作状況や耐用年数等は確認しておいても損はないかもしれないですね。

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不動産エコノミスト
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