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住宅コンサルタント 野中 清志(のなか きよし)
株式会社 オフィス野中 代表取締役。大手マンションディベロッパーの営業を経て、ワンルームマンションディベロッパーにて執行役員を歴任。2003年に株式会社オフィス野中を設立。 「お客様の立場に立った購入アドバイス」を実践し、不動産の豊富な知識と業界30年の経験を活かしたコンサルティングをおこなう。

 今後の日本経済におけるネガティブ要因の一つとして「人口減社会の到来」が挙げられます。こうした社会情勢の変化とマンション投資との向き合い方について考えてみましょう。

将来の人口は減少に

 2015年の国勢調査では、調査開始以来初めて日本の人口が減少となりました。今後の日本は人口減が続き、「人口減社会」を迎えると言われています。
 2015年の国勢調査では日本の人口は1億2,709万人でしたが、2040年には1億1,092万人と2千万人以上が減少、さらに2060年には1億人を割って9,924万人となり、2065年には8,808万人となると予想されています。

総人口の推移予測

総人口
平成27(2015) 12,709万人
平成52(2040) 11,092万人
平成72(2060) 9,284万人
平成77(2065) 8,808万人

(死亡中位・出生中位推計)
<国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29 年推計)」>

 次に東京都の人口を見てみましょう。東京都の人口は2015年には1,352万人となりその後も増加を続けますが、2025年の1,398万人をピークに減少に転じ、2060年には1,173万人となると予想されています。東京のような大都市でもやはり将来的には人口が減少となると見られています。

 世帯数を見てみると、日本の世帯総数は2015年の5,333万世帯から増加傾向が続き2023年の5,419万世帯でピークを迎えますが、その後は減少に転じ2040年には5,076万世帯まで減少すると予測されています。
 東京都の世帯数は2015年の666万3,000世帯から増加傾向が続き、2025年には681万4,000世帯まで増加し、その後は減少となり2035年には661万4,000世帯となると予想されています。

 このように日本の人口は減少傾向となりますが、世帯数の減少はまだこれからの事です。東京などの大都市ではさらに人口・世帯数の減少が到来する時期が先となると見られています。

全国的な人口減の時代にむしろ都市部は増加傾向

 総務省がまとめた2017年の人口移動報告によると、他県などから東京都への人口流入が多く東京都の人口は転入超過の状態となっています。転入超過となっている都市は少なく、日本のほとんどの市町村は転出超過となっている状態です。
 将来的な人口を見ても、2040年の総人口が2010年よりも多くなる自治体はわずか4.8%しかありません。
 東京都に転入してくる人は15~29歳の若年層が多く、若者の東京集中現象が加速しています。転入人口は若者が中心ですので転入の多い都心部は地方と比べて高齢者の割合が少なくなっています。2040年に75歳以上人口の割合が最も大きいのは秋田県(28.4%)で、最も小さいのは東京都(17.4%)と予想されています。
 また、東京都の中でも中心部は流入人口も多く、都心部とその周辺で高齢化率の違いが出ています。
 このように人口減のときは東京などの大都市、その中でも都心部や、都心部へアクセスしやすい沿線にある立地などが投資に適した立地となると考えられます。

人口減でも単身世帯は増加

 ワンルームマンションの入居者となる単身世帯の動向はどうでしょうか。
 東京都の単身世帯は2020年には約316万世帯、その後も増加が続き、2035年には約323万世帯となると予測されています。
 また割合的にも単身世帯が増加、2035年には東京都区部の全世帯の半分以上が単身世帯となると見られています。
 ワンルームマンションなどの賃貸需要の中心を占める単身世帯に限定すれば今後も増加傾向となっています。
 このように単身世帯向けの住宅は非常に将来性が高く需要も底堅いと言えます。

東京都の単身世帯数の予測

  平成32年
(2020年)
平成37年
(2025年)
平成42年
(2030年)
平成47年
(2035年)
東京都 3,162,642世帯 3,201,966世帯 3,233,274世帯 3,239,799世帯
区部 2,399,666世帯 2,430,320世帯 2,459,915世帯 2,475,824世帯

<東京都「東京都世帯数の予測 平成26年3月」>

2035年の世帯類型別割合予測
東京都区部

  総数 単独世帯 核家族世帯
(夫婦のみ、親と子供)
その他
世帯数 4,929,043世帯 2,475,824世帯 2,197,362世帯 255,857世帯
割合 100% 50.2% 44.6% 5.2%

<東京都「東京都世帯数の予測 平成26年3月」>

 一口に人口の減少と言っても、地域によってその減少スピードも違います。世帯数も減少に転じるものの、単身世帯に限れば減少も先であることがわかります。

外国人の増加

 今後の日本、特に東京はグローバル化がますます加速します。グローバル化といっても自然に外国人の数や外資系企業の数が増えるのではなく、国、あるいは東京都などの政策的な後押しによっても増えています。
 アジアヘッドクォーターや国際戦略特区などの設置により外国企業の受け入れ体制を拡充していることも外国人が増加している要因の一つです。
 安倍首相は外国人労働者の受け入れ拡大を指示し、優秀な人材に門戸を開く方針を表明しています。そのような背景もあり、日本全体の人口は減少しても、外国人の数は増えてきています。
 実際に外国人労働者の数は120万人を超えており、10年で倍増しています。また東京都内の外国人労働者は2017年10月現在で約39万人となり、前年比18.5%の増加となっています。
 外国人留学生も増加しています。2013年に約13万だった外国人留学生は2017年には26万人と倍増しています。地方から東京の大学に入学し、卒業後は東京の企業に就職し東京で結婚する方が数多くいるように、海外から留学生として来日した学生が、そのまま東京の企業に就職し、東京で結婚するという方も増加傾向となっています。このように、外国人の持続的な増加傾向の中で、外国人向けの単身住宅の需要も増加すると思われます。

外国人留学生の数

外国人留学生数
2017年 267,042人
2016年 239,287人
2015年 208,379人
2014年 184,155人
2013年 135,519人

各年5月1日現在
<資料:独立行政法人日本学生支援機構>

新車登録台数の変化

 これまで自動車の販売台数は増加してきましたが、バブル期の1990年頃をピークに減少傾向にあります。現在4輪新車の登録台数は年500万台前後ですが、前年同月比で減少となる月も多くあり、日本全体で車の需要が少なくなっている傾向にあります。東京都の新車登録状況を見てみると、2017年には登録台数が前年を割り込んでいる月も多くあり、都心部での車の需要も減ってきていることがわかります。
 この要因として駅に近いエリアに住む人が多くなってきている事が考えられます。東京都では地価の上昇に伴い駐車場代も上昇しています。車を離れて駅に近いところに住みたい人も増加しています。東京など大都市圏では交通アクセスも向上しており、その傾向に拍車がかかっています。
 今後の不動産投資のエリアとしては、駅から近く、都心部にアクセスしやすい利便性がますます重要となってきます。

年収増の層が厚くなってきている。

 アベノミクスによる経済対策も継続されています。低金利政策を推進する日銀の黒田総裁の続投も決まり、低金利の継続も予想されています。こうした中、企業収益も高まり、給与所得も増加傾向にあります。
 国税庁の平成28年分民間給与実態統計調査を見てみると、平成24年と比べて、年収が500万円を超えた人が約170万人、さらに年収1000万円を超えた人が36万人と大幅な増加となっています。年収500万円を超える方は比較的投資をする際のローンにおいても組みやすくなるので、より資産格差も拡大する傾向となりつつあります。
 このように人口は減少傾向になりつつある中で、不動産投資をする方の層と質は充実してきています。

人口が減っても資産価値が高いマンションは入居率が維持される

 このように年収が全体的に増えてきて、単身世帯向け住宅に対するニーズもバージョンアップしています。
 ただし、30平方メートル以上のコンパクトマンションは買うか借りるかという選択肢になりますが、30平方メートル以下のワンルームマンションは自己居住目的で買う人はほとんどなく、その大半が賃貸(投資)となります。
 ですから投資用ワンルームマンションの比較物件はアパートかシェアハウスとなります。ワンルームマンションは設備・仕様・立地の面で優れているので、年収増加による住宅需要の質も向上に対応できるワンルームマンションの賃貸需要は底堅いと思われます。

利便性の高い沿線の物件は将来性も高い

 不動産投資の立地を考える上で「沿線」の選択も重要となってきます。都心にアクセスしやすい人気の路線は多くありますが、ここは一つの例として「京浜東北線」を見てみましょう。
 JR東日本の乗車人数ランキングを見ると、ベスト10の中に東京・横浜・品川・新橋・大宮・秋葉原と京浜東北線の駅が6駅もランキングしています。乗車人数が多いということはそれだけ就業人口が多く沿線に住宅需要が多いといえます。
 またこの6駅はいずれも再開発計画などが目白押しな駅が多く、今後も企業数も増え、さらに就業人口の大幅な増加が見込まれる事から京浜東北線沿線のポテンシャルもさらに高まっていくでしょう。
 そのほかにも有望な沿線は多々ありますが、このような乗車人数の多い駅にアクセスしやすい沿線のマンションは例え人口減社会となっても根強い人気、賃貸需要が見込まれます。

JR東日本の2016年度乗車人数ランキング
(1日平均)

1 新宿 76万9,307人
2 池袋 55万9,920人
3 東京 43万9,554人
4 横浜 41万4,683人
5 品川 37万1,787人
6 渋谷 37万1,336人
7 新橋 27万1,028人
8 大宮 25万2,769人
9 秋葉原 24万6,623人
10 北千住 21万4,322人

 

アプリシエーション(資産価値のUP)による賃貸戦略

 これからのマンション投資は、入居者を安定的に確保したり賃料収入が増えるようなオーナーとしての戦略的な自助努力も求められてきます。
 その中の一つとしてアプリシエーション(資産価値のUP)として設備・仕様などのグレードをアップさせる投資戦略などがあります。
 設備の中でも最近ではIoTがかなり進化してきましたが、一つの例としてIoT照明の導入が挙げられます。IoT照明とは、照明器具の中にスマホと連動したスピーカーが内蔵されて天井から音楽が流れたり、照明器具の中に録画機能が付いていて外出先から室内を確認でるなど防犯対策としても有効です。
 さらに外出から帰る際に、照明のほか、冷暖房のスイッチをつけておくことができるなど様々な機能がスマホでできるようです。
 例えばこのような照明を5万円で設置して、その結果7万円の家賃が7万5,000円に上昇すれば、投資した5万円は10ヶ月で回収できる訳です。
 人口減社会となったとしても、時代に合った賃貸ニーズに即したアプリシエーションという考えがあれば、対応できる訳です。

人口減社会の中で二極化が進む

 人口減社会の中のマンション投資のキーワードは二極化の加速が挙げられます。
 つまり借り手がまったく付かないエリア・マンションもあれば、逆に空室率が極めて低く、賃料水準が上昇していくエリア・マンションもあり、極端に異なる傾向となるでしょう。
 こうした中で、将来性の高いエリア・マンションを選択して投資を行うことが人口減社会を迎える中でのキーポイントとなるのではないでしょうか。

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