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不動産エコノミスト 吉崎 誠二(よしざき せいじ)
㈱船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者、(株)ディーサイン取締役 不動産研究所所長を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。 http://yoshizakiseiji.com

【第10回】不動産市況・マンション市況の好調がうかがえる3つの数字

―好調続く首都圏中古マンション市場
―マンション賃料は一部エリアを除いて好調
―REIT指数で見える変化の兆し

 日経平均株価が3万円超え、まだ上昇するような勢いです。2月に入り、新型コロナウイルスの収束への希望が見えてきているためか、好調を物語るデータが増えてきています。

 「21年1月のマンション販売は1月としては過去最高に」
 「大都市部でのマンション賃料は、再び上昇基調に向かっている。」
 「沖縄県で、平均坪単価350万円前後のマンションが発売される。」
 「投資用のワンルームマンションの売れ行き好調が続いており、キャップレートは低い状況が続いている。」
  この数週間だけでもこのような情報が発表されており、「ほんとに景気は悪いの?」という状況です。

 新型コロナウイルスのワクチン接種がようやく日本でも始まり、収束への兆しが見え始めてきました。今回は、不動産市況・マンション市況の好調ぶりが伺えるデータについてお伝えします。

好調続く首都圏中古マンション市場

 中古マンションの値動き・契約状況は、不動産(住宅分野)市況を知る上で、最重要指標の一つです。

 (財)東日本不動産流通機構が発表した2021年1月「首都圏不動産流通市場動向」によると、1月の首都圏中古マンション成約件数は、前年を大きく上回りプラス29.9%、3,480件でした。1月の数字としては、1990年5月の機構発足以来過去最高となりました。都県別でみると、東京都1,775件(前年同月比26.2%増)、埼玉県408件(同26.7%増)、千葉県417件(同38.5%増)、神奈川県880件(同35.4%増)と各エリアで大幅に増え、いずれも1月としては過去最高を記録しています。

 次に中古マンションの価格ですが、1㎡当たりの成約単価は前年同月比プラス2.3%、57万5,700円、平均成約価格は3,772万円(前年同月比2.7%上昇)。成約単価は9ヵ月連続、成約価格は8ヵ月連続の上昇となりました。
 この価格上昇にはいくつかの要因がありますが、その1つは、「供給量の減少」です。
2021年1月の新規登録件数は1万3,480件で、17ヵ月連続、在庫件数は3万7,054件と14ヵ月連続の減少と、売出し物件の少なさ=中古マンション供給量の減少が目立ちます。

マンション賃料は一部エリアを除いて好調

 次は、マンションの賃料についてです。
 東京カンテイが2月15日に発表したデータによると、首都圏における分譲マンション賃貸物件の賃料が2カ月連続で上昇。特に東京都は最高額を更新しています。
 確かに1月~3月は、転勤・引っ越しなど移動のシーズンですから、例年やや上昇することが多いのですが、それ以外に長期的な背景もあります。

 それは、「中古マンション価格」との関係です。2013年年初ごろ以降、長く中古マンション価格上昇が続いている中で、とくに17年・18年頃からは、「いまが高値売り時だ」と考える方が増えました。こうした方々が、売却後に住む部屋として、「分譲マンションの賃貸物件」を求めたわけです。分譲マンション賃料の推移を見ていると、2018年に入ったあたりから、上昇スピードが速くなっています。
 
 一方、ワンルームマンションの賃料ですが、全体でみると「横ばい~やや上昇」という状況のようです。本来は、この時期はもう少し上昇基調にあってもいいのですが、エリアによっては苦戦が続いていることが全体の上昇ムードを押し下げているようです。例えば、大学周辺物件です。ワンルームマンションでは大きな需要層である学生向けですが、ご承知のように、いまだリモート授業が多く、学生のキャンパスへの戻りが遅れています。これは早晩戻ると思われますが、もう少し苦戦が続きそうです。
 こうしたエリア以外は、「概ね変わらず良好」という状況で、大都市部におけるワンルームマンション投資の安定感がうかがえます。

REIT指数でみる変化の兆し

 次に、「不動産市況の先行が見える」と言われる東証REIT指数を見てみましょう。

■図1:東証REIT指数(2020年1月〜)

 図1は2020年1月以降の東証REIT指数の推移を物件種別ごとに示したものです。
新型コロナウイルスの影響での大きな落ち込み(20年3月半ば)があり、その後回復、そしてもみ合いが続いていました。しかし、21年年明けからは、どの種別も上昇を続けています。とくに、物流REITと住宅系REITは安定感がある上に、このところの上昇となっています。

 最近の注目はホテル系REITです。言うまでもありませんが、REITへの投資は、値上がり(キャピタルゲイン)期待と配当分配金(インカムゲイン)収入期待の2つの側面があります。ホテル系REITの配当分配金は、緊急事態宣言等にともないホテル稼働率の低下などの影響で低水準が続いており、配当金利回りもかなり低くなっています。しかし、このところホテルREITは投資口価格の上昇が続いています。新型コロナウイルスの収束への兆しが見えはじめ、世界的な収まりが見え始めると、日本へ海外からの観光客(インバウンド)が多く訪れることが予想されています。そうすると、今の低稼働率が一気に状況が変わる可能性が見えてきました。こうした動きを先取りしているものと思われます。こうしたことは、JALやANAの株がこのところ急上昇していることからも分かることです。

 少しずつ暖かい日が増えてきました。そしてワクチン接種も始まり、「新型コロナウイルスの収束」と言える日はまだ先だと思いますが、少しずつその兆しが見えてきました。多少ポジティブな見方かもしれませんが、21年は不動産市況の好調が続き、経済の状況も、かなりの回復が期待できると思えるデータが出始めています。

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