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相続実務士 曽根 恵子(そね けいこ)
【相続実務士】の創始者として1万4,500件の相続相談に対処。(株)夢相続を運営し、感情面、経済面に配慮した”オーダーメード相続”を提案。”相続プラン”によって「家族の絆が深まる相続の実現」をサポートしている。出版書籍53冊、累計39万部出版、TV・ラジオ111回出演、新聞・雑誌取材協力425回、セミナー講師実績500回。(2019年5月時点) https://www.yume-souzoku.co.jp


 今回は、現金や有価証券など、相当な額を保有する一人暮らしの80代父親を持つTさんの相続税の節税対策をご紹介します。

[課題]80代父親の財産を確認したら相続税が相当な額に

 Tさんの父親は、母親が亡くなってから一人暮らし。長男のTさんは、仕事や子供の学校の関係で両親とは同居できず、そのまま自宅を購入して今に至ります。
 父親は祖父母から相続した貸宅地があり、毎年の地代収入がありました。また、一部の貸宅地を売却した現金や親から相続した現金があり、優良株を購入し長期に保有してきました。
 父親は80代後半の年代になっていますが、相続に関してはこれといった節税対策をしていないため、不安になったTさんが相談に来られました。Tさんはこれまで転勤のある仕事をしており、父親のことはサポートできていませんでしたが、一人暮らしが困難になったことや、子供のいない叔母の介護も必要になったため、思い切って会社を退職して2人のサポートをすることにました。
 財産を確認し、相続税額を計算すると相当な額になり、早急に節税対策をしたほうがよいと判断されました。

[対策1]有価証券と預金で賃貸不動産を購入した

 有価証券は安定した銘柄で、解約しても元金割れしません。そこで、2億4000万円を解約しました。次に、定期預金を5000万円解約し、その合計額の2億9000万円で12戸の区分マンションを購入しました。
 まとめて1棟マンションを購入してもいいのですが、適当な物件が少ないため、立地や間取りを変えることも空室対策になりますので、別々のマンションを購入するようにしました。
 預金や非課税枠を超えた生命保険では節税できないのですが、現金を賃貸不動産に替えることによって評価額が30%程度になるため、確実な節税対策ができました。

[対策2]小規模宅地等の特例が使えるようになった

 Tさんは父親と同居しておらず、すでに自分で自宅を購入しているため、居住用の小規模宅地等の特例は使えません。けれども、賃貸住宅を購入すれば、200㎡まで50%評価減できる貸付用の小規模宅地等の特例が使えるようになります。

[対策3]不動産管理会社の設立

 賃貸住宅の名義は父親ですので、家賃は父親に入ります。そうなるといったん減らした預金はまた貯まるばかりです。そこで、Tさんが賃貸管理の法人を設立し、父親から賃貸住宅を一括して借り上げて、父親の収入を減らすようにしました。その後は、計画的に建物を父親から法人が買い取り、法人の家賃収入を増やすようにすれば、さらに節税対策は効果的です。

以上の対策によってTさんの相続税額は約1/3に節税

[ご家族の状況]
○Tさん(男性・40才代) ・職業 会社役員
○家族関係  父親(80代)、長男(本人)

□賃貸不動産に組み換えによる評価減◇

[対策前]
○相続財産 4億3454万円
○基礎控除(相続人1人) 3600万円
○課税価格 3億9854万円
○相続税総額 1億5757万円(①)
[対策後]
○有価証券を解約 −24000万円
○預金を解約 −5000万円
○賃貸不動産を購入 +8700万円
※購入価格(2億9000万円)の30%と想定(賃貸マンションは購入価格ではなく相続税評価額が課税対象となる)
○小規模宅地等の減額 −1450万円(200㎡ 50%適用)
○基礎控除(相続人1人) 3600万円
○課税価格 1億8104万円
○相続税総額 5541万円(②)

【節税額】 1億216万円(①-②)

賃貸マンション(12戸/1R〜1LDK)の家賃収入を節税するために

 賃貸物件の家賃が入るようになると、その家賃には所得税がかかり、残りは現金の財産として増えていくことになります。賃貸マンションを購入した節税効果は確実にあるものの、増える現金に対して相続税が課税されますので、それも防ぐ必要があります。

[賃貸マンションの収支]

○月額家賃(12戸)計144万円-管理費等計30万円
 → 手取り(年間収入)1368万円

[対策]賃貸経営の会社をつくって資産増を回避する(賃貸管理会社)

賃貸事業が順調に稼働し、家賃が入るようになると、次は所得税がかかりますし、今まで以上に収益があがれば、現金が財産として残っていくことになります。賃貸マンションを購入した節税効果は確実にあるというものの、増える現金に対して相続税が課税されますので、それも防ぎたいところです。
そこで、不動産管理会社を作り、会社に家賃の一部を払うことで現金が増えることを防ぎ、所得税の節税にもなります。また、親族に役員報酬を払うことで、納税資金を貯めることもできるようになります。
 ※但し、当初の法人の収入は家賃の15%程度。法人が建物を所有すれば家賃は全額受け取れる。

不動産管理会社への管理委託方法はいろいろあるのでニーズに合わせて選べる

 不動産会社を利用する方法には、アパート・マンション等を一括してその管理会社に貸し付ける方法(サブリース方式)と管理会社にそのアパート・マンション等の管理をまかせる方法(管理委託方式)とがあります。また、建物を法人が所有する「所有方式」もありますが、個人財産の節税にはなりません。

○サブリース方式と管理委託方式
 不動産会社を利用する方法には、「サブリース方式」と「管理委託方式」とがあります。「サブリース方式」とは、管理会社に自分のマンションを一括して貸し付け、その後、その管理会社が第三者に貸付けるという方法です。「管理委託方式」とは、不動産管理会社に不動産の管理をまかせて管理料を支払うという方法です。

○所有方式もあるが節税効果は少ない
 「所有方式」とは、土地は個人所有のままで、建物だけを会社が所有し、会社が建物オーナーとして第三者に賃貸する方式です。この場合は、建物を会社名義で建てるため、個人の借入はなくなりますので、節税対策とすれば、土地を同族会社に貸していることの減額のみで効果は少なくなります。

 以上のように、有価証券と現金を賃貸マンション12戸に替えることで、約1億5000万円の相続税額を約5000万円まで減らすことが可能になりました。また、同時に、賃貸収入による所得増でも相続税、所得税の節税対策を講じることで、さらに高い効果を生むことができました。

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