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マンション経営・不動産投資の気になる!アレコレコラム
2016.06.09

「良いマンション」だと営業する不動産会社が、自社でその物件を持たない理由とは?

developer

 「こんなに薦めるなら、自分の会社でこの物件を保有すれば良いのに・・・」

 不動産を購入したことがある方で、このように思ったことがある方がいるかもしれません。投資に適している物件を仕込んだり、仲介したりする不動産デベロッパーは、なぜ自社で物件を持たないのでしょうか。

1. メリットが少ない?

 勿論、デベロッパーも自社で物件を保有している場合もあります。しかしあまり多くを保有すると、会社の業績に悪い影響を及ぼす可能性が高くなってしまいます。物件を保有するということは、賃貸収入(インカムゲイン)で利益を得ます。但し、インカムゲインの絶対額は小さく、融資を受けて物件を保有しているとローンの返済額の方が高く、赤字になる場合もあります。

 また、個人で不動産投資ローンを組む時のような保険もありません。返済が滞れば物件は差し押さえられますし、決算が悪ければ新たな融資が受けられません。従って、デベロッパーが多くの物件を保有するメリットは決して多くないのです。

2.ローンの融資枠には限界があり審査も厳しい

 個人ではなく法人が金融機関から借入する時も、個人の時と同じように融資枠に限界があります。金融機関は融資を行う会社の業績を、貸借対照表(BS)や損益計算書(PL)などの財務諸表、その会社の返済履歴、所有物件、キャッシュフロー、そして業種など、ありとあらゆる角度から審査して融資枠を定めます。

 個人の場合は投資用不動産でない限り、基本的には居住用の住まいを1つ所有しているだけのケースがほとんどでしょう。それゆえ、金融機関もリスクが小さいと判断し融資には比較的積極的です。しかし、不動産投資を主業としている法人の場合は、既に複数の物件を所有している場合が多く、今後も所有物件が増え続ける可能性があります。金融機関もリスクが大きいと判断された場合は、融資自体を積極的に行いません。特に金融機関が一番恐れているのは、融資をした物件が「在庫」になることです。

3. 在庫リスクとは

 在庫とは「棚卸資産」のことです。例えば、不動産会社Aが転売目的で1億円のマンションを銀行からの融資で購入したとすると、A社のBSには「棚卸資産」として1億円が計上されます。マンションが無事に転売できた時にはこの棚卸資産はなくなり、代わりに売却益が計上されます。

 棚卸資産であるマンションが無事に売却できれば良いですが、いつまで経っても売却できなければ決算の度に棚卸資産として残り続けます。それだけではなく、そのマンションを時価に置き換えた際、取得時よりも価値が下回った場合には「簿価の切り下げ」を行います。切り下げたマイナス分は損失として計上しなければなりません。つまり、価値の下がった不動産を在庫として持ち続けることは、財務諸表のマイナス要因となります。

 勿論、インカムゲインが目的で物件を保有した場合も同じです。上述したようにこのような状況は、インカムゲインを目的として物件を保有するケースの方が、保有期間が長いためリスクが大きいです。

4. 不動産会社のビジネスモデル

 一方、不動産会社の立場としてはどうでしょうか。現金でマンションを購入する会社もありますが、ローンを組んで取得するケースが多いと思います。すべてのマンションを現金で購入していたら莫大な資金が必要になるので、借入せざるを得ないのです。借入には金利がかかりますので、会社は金融機関に対して毎月金利分も含めて返済します。

 前項で申し上げたように、金融機関に「在庫リスクがある」と見なされると借入審査は厳しくなり、すでに在庫がある状態だとより一層融資のハードルは上がります。不動産会社は在庫を持たないようにするため、いかに早く売るかを重要視して売却活動を行います。

 売れることを見越した上でマンションを購入し、仕入れ額よりも高値で売却して利益を得るのが、不動産会社のビジネスです。マンション売買のスピードを上げて回転させないと、金融機関から新たな借入ができません。それは新たな物件を取得できないことを意味しています。

まとめ

 このように、数多くの物件を保有するということは、会社の業績悪化のリスクが大きくなります。決算が悪くなると、金融機関から新たな融資を受けにくくなります。融資を受けられなければ、不動産のビジネスモデルである「仕込む→売却」というルーティンが立ち行かなくなってしまうのです。

 不動産会社は、物件を保有して販売するという流れを作っています。そうして、不動産投資をしたい投資家のニーズに応え、質の良い不動産を市場に供給しているのです。


(写真=PIXTA)

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