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2016.06.10

日銀は本気だ! 低迷している指標から期待できるのは?

nichigin

 日銀が2016年4月28日の政策決定会合で、追加緩和を見送りました。日本の株式市場はこの日、日経平均で624円、週明けの5月2日も518円下げる波乱相場になり、円相場は一時、1ドル=105円台まで進みました。

 夏に選挙を控え、日銀は次の策を貯めて、満を持しています。

為替政策が株式市場の「足かせ」になる可能性

 連休ショックの起きた日本の株式市場の最大の波乱要因は、アメリカ政府が4月29日に発表した報告書で、日本の為替政策を「監視対象」にしたことでしょう。ドイツ、中国は既に監視対象ですが、日本は初めてで「不必要な為替介入を行った場合は、為替操作国として何らかの対処を行う」との警告です。

 麻生財務相は「我々の対応は制限されない」とコメントしています。しかし警告が出たことで、少なくとも為替介入の自由度が下がり、円高・株安基調の中、株式市場は当面、不安定に上下する可能性が高くなりました。

 円高は国際的に円が強いことを、円安は弱いことを意味します。「円高で株式市場が値上がり」は理想的ですが、そうはなりません。2012年12月の第2次安倍政権発足の3ヵ月後に発足した、黒田東彦・日銀総裁が「黒田バズーカ」とも呼ばれる金融政策で大量の資金を供給してきたのも、株式市場を意識しています。お金の量を増やせば円安になり、日本市場で取引している外国人投資家が日本株式を買うだろうという思惑がありました。

3度に及んだ黒田バズーカ

 第2次安倍政権は、発足直後に金融緩和、財政出動、成長戦略を3つの柱とするアベノミクスを発表しました。「アベノミクス」は、国際的に通用する経済政策のキーワードになりました。

 黒田日銀総裁は2013年4月に自ら「異次元の金融政策」と名付けた量的・質的金融緩和策として、年80兆円のマネタリーベースの供給と「インフレ率2%」の目標を発表しました。以来、日銀と安倍政権は一心同体で経済政策に取り組んできました。2014年10月には黒田バズーカ第2弾として量的・質的緩和の拡大、そして2016年2月、これまで行ったことのないマイナス金利付き量的・質的緩和を行いました。

 アベノミクスは円安を加速させました。円安効果がもたらした会計上の数字という見方もありますが、大手企業などの業績をかさ上げしたことになり、それに伴って株価は堅調に推移、2015年8月には日経平均が2万500円を超えました。また、2013年、2014年春の「官製春闘」とも呼べる賃上げ環境も整え、一時的ですが、景気の先行きは明るく見えました。

厳しくなるアベノミクスへの評価

 2015年の日本の実質成長率は、0.5%の低成長にとどまりました。IMF(国際通貨基金)は、2016年の日本の成長率を0.5%、2017年はマイナス0.1%と悪化すると予想しています。景気低迷で日銀が掲げる物価上昇率2%という目標は達成できず、デフレ脱却は困難なのではないかという見方が広がっています。日銀自身も「2017年前半頃」としていた達成時期は4回も先送りし、今回の日銀政策決定会合で、「2017年度中」に変更しました。

 このように日本が期待されるほどの経済成長を見せていないことが大きな要因となり、国内だけでなく海外からのアベノミクスの評価は次第に厳しくなってきています。

さまざまな指標から見えてくるもの

 黒田日銀総裁は4月末の追加緩和見送りの記者会見で、「技術的に金融政策に限界はない」「国債買い入れに限界はない。躊躇なく追加緩和を行う」と語りました。どの指標を見ても消費動向は低いままですが、その中で注目しておかねばならない指標があります。

 その指標とは「不動産指標」です。不動産指標は「住宅地」「商業地」「全用途」の3つの数値に分かれています。全国や三大都市圏、地方都市圏など大まかではありますがそれぞれの不動産業界の動きをみることができます。

 国土交通省が2016年3月に発表した公示時価(2016年1月1日時点、全用途)は、全国平均で0.1%上昇し、2008年以来8年ぶりにプラスに転じました。東京・大阪・名古屋の三大都市圏では住宅地はほぼ前年並みの小幅な上昇を示し、商業地は総じて上昇基調を強めています。このことから、不動産指標の中でも三大都市圏の今後の動きに期待ができるといえます。

 また、先に述べた黒田バズーカの一つ「マイナス金利」は、このような不動産業界への期待を、更に強く印象づけるものとなりました。

意識改革が課題

 日銀が2016年3月25日に発表した資金循環統計によると、2015年末現在の家計(個人)金融資産残高は1,741兆円と、前年末に比べ29兆円増になり、同じ方法での統計を使った2005年以来最高となりました。残高の半分以上は「現金・預金」で、リスク性資産(株式、投資信託、外貨預金など)は284兆円(16.3%)に過ぎません。

 次の発表(6月末)は、マイナス金利発表後の3月末現在の統計で、「現金・預金」の推移が注目されます。国内の個人金融資産の70%近くは60歳以上が保有しています。そのうちの一部が「個人年金」の代わりに不動産投資に向かうだけで、経済の発展につながり、政府主導による企業の賃上げよりも経済効果は大きいのです。

(写真=PIXTA)

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