マンション経営をする際の具体的な手順・流れ
「マンション経営」と聞くと、一部の富裕層の投資家や広い土地の持つ地主さんが行うもの、というイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。はじめてみたいけど何から手をつけて良いかわからない、という方もいるでしょう。
実は最近では、ローンの低金利が続いていることもあり、サラリーマンやOLなど普段働いている方でも取り組みやすい環境になっています。長く保有できる資産として、不動産投資を選ぶ方は増えているのです。
そこで今回は、マンション経営を始める際に必要な具体的な手順や方法をお伝えします。
マンション経営=大家になる
マンション経営・アパート経営とは、ひと言で言えば「大家になる」ということです。つまり、マンションの一室を購入・所有し、それを賃貸し家賃収入を得ていくことです。
「経営」という点では、物件の選定に始まり、マンション購入時のローンの借り入れ、入居者を探すための不動産会社への依頼、物件の管理会社を選定、税金の支払いまで、まさに経営者としての仕事をすることになります。
1室だけを堅実に経営するのも、2室、3室と規模を拡大していくのも自由です。
しかし、「経営」というと少し堅苦しいように思われるかもしれませんが、個人が投資用のマンションを購入し、経営していくこと自体はそう大変ではありません。以下に実際にマンションを購入するところから、購入後の手順までご紹介します。
1.マンション購入までの手順・流れ
その1 希望物件のリサーチ
ご自分の希望に合った物件をリサーチします。インターネットや投資マンションを扱う会社を活用し、物件を探していきましょう。新築なのか中古なのか、予算はどれくらいで、利回りはどのくらいあると良いのか、などなど…。
昨今、東京や横浜など一部人気の地域では人口が増加しており、また都内では4人に1人が賃貸ユーザーの単身者というデータもあります。そうしたデータを踏まえると、人口減少の中でも人口の流入が見込める都心部や横浜、川崎などの駅近立地で探すのが得策と言えるでしょう。
その2 気に入った物件があれば、購入申込みと契約を行う
リサーチした中で良い物件があれば、不動産会社に連絡を取り内容を確認します。
物件の内容に納得ができ売主と条件面での折り合いが付いたら、購入申込書を提示し契約の手続きをします。ひと昔前まで、手付金は物件価格の1割程度が相場でしたが、売主との話し合いで減額することもできます。
その3 ローン審査承認後、決済と登記
物件の契約後、ローン審査の承認が下りたら、ローン借入の為の金銭消費賃借契約を金融機関と結びます。その後、契約時に取り決めた日程で決済と所有権の登記を行います。ちなみにこの契約の際、ローンが承認されなかった場合には手付金を無利息で返還するという「ローン特約」をつけるケースが多いので、特約の内容は確認しておきましょう。
決済の際には建物代金以外に、
- ・登記費用
- ・金融機関へのローンの手数料
- ・火災保険料
- ・管理関係初期費用
といった諸経費が必要になります。
諸経費は、新築マンションの場合約80〜100万円、中古マンションの場合約60〜70万円程を見込んでおきましょう。多くの場合、諸経費は現金で用意する必要がありますが、銀行によっては諸経費まで融資をしてもらえる場合もあります。
なお、ローンを組む際にはサラリーマンやOLといった肩書が有利に働きます。例えば、公務員や一部上場企業の社員の方であれば、諸経費まで含めた融資を得て、すべてをローンでまかなうことも難しくはないでしょう。
物件価格の100%の融資を受けることをフルローンと言います。もちろん上場企業でなくとも、お勤め先や勤続年数、年収によってはフルローンやオーバーローン(物件価格+諸経費を含む全てをローンでまかなうこと)が可能です。
2. マンション経営の具体的な手順
その1 入居者募集
実際にマンションを購入したら、入居者を募集します。一般的には不動産会社に仲介手数料や広告費を支払って、入居者を探してもらいます。不動産会社に依頼すれば、広告から案内、契約手続きまでを代行してくれます。
かかる費用は仲介手数料の相場が賃料の1か月分、広告掲載費用として賃料の1か月分、合計2か月分といったところです。都心部の新築マンションで駅から徒歩10分以内で、周辺相場からかけ離れた賃料設定でなければ、比較的スムーズに入居者は決まるでしょう。
また、これら募集の業務は、毎月定額の手数料を支払うことにより全ておまかせできるサービスもありますので、検討してみるのもよいでしょう。
その2 管理会社の決定
マンション経営で欠かせない物件の管理は、水回りやエアコンなど住居内設備の不具合の対応、入居者からのクレーム対応、家賃が遅れた場合の支払いの督促など管理業務は多岐に渡ります。
これらは自分で行うこともできますが、サラリーマンの方が副業で行う場合、管理会社に手数料を支払って一括して委託することがほとんどです。どこまでの業務を委託するかでコストは変わりますが、委託管理手数料の相場は家賃の5%程度です。
その3 家賃督促
入居者が家賃を支払わない場合には、電話などで督促を行う必要があります。この業務も管理会社に委託することが可能です。また、入居者から家賃の入金がない場合に肩代わりしてもらう契約や、空室でも一定の賃料を支払ってもらうという契約もあります。
その4 修繕対応/クレーム対応
入居中の物件でエアコンなどの故障が起こった場合、近隣の騒音に対するクレームなどの連絡が入居者からあった場合、大家は対応しなければなりません。これも管理会社に委託することができます。
備え付けのエアコンの交換などで実費が発生する場合、大家が費用を負担する必要があります。設備の修繕や丁寧な対応は、空き室対策の一環としても必要なことです。しっかりと対応するようにしましょう。
その5 清掃作業
マンション内が清潔に保たれていれば、空室となった場合に次の入居者の募集がしやすくなります。管理会社が居住スペースを清掃することはありませんが、共用部分や周辺の清掃をします。大家はエントランスや通路、ゴミの集積所、共用部分が適切に管理されているかどうかを確認します。
その6 管理費や修繕積立金の支払い
マンションの所有者になれば委託管理手数料とは別に、エントランスやゴミ置き場の清掃、エレベーターのメンテナンスなど、共用部に対する管理費や将来の修繕に備える修繕積立金を毎月支払う必要があります。
修繕積立金は、年数が経つごとに支払い額が上昇していくのが一般的です。こうしたマンションの修繕計画に基づく将来の支払い額も確認しておきましましょう。
その7 税金の支払い
マンション経営を行っている場合、サラリーマンとして得ている給与と合わせて不動産所得の確定申告をする必要があります。年間の家賃収入から、上記の管理手数料や仲介手数料、固定資産税、不動産取得税、ローンの借入金利子など、マンション経営に関して支払った経費を差し引き、利益がある場合には、それに対して税金が課されます。
税金は、毎年1月1日から12月31日までの収益・諸費用から計算されるため、いつ費用を支払うかの判断も重要になります。
番外編 空室対策はどうする?
多くの方が、マンション経営を始める際に不安に思うのが「空室」について。
具体的な手順や流れがわかっても、安定した家賃収入が入るのか不安で踏み切れない方もいるでしょう。前述した通り、建物をキレイな状態に保ち、設備を充実させる、というのも空き室対策のひとつです。
もともとの設備が充実していない物件でも、その代わり家賃を低く設定し、日常の掃除・点検をこまめに行うことで、退去者を減らす工夫もできるでしょう。
そういった際には、近くにある同じような条件の物件を探し、その家賃や環境をリサーチしてみるのも方法です。
また、空室が不安であれば、不動産会社に物件を借り上げてもらう「サブリース(一括借り上げ)」を利用する方法もあります。
建物の条件が悪くても、空室を減らす手はいくつも存在します。まずは不動産会社や管理会社に相談してみましょう。
マンション経営の手順は実は意外と簡単
これまで見てきたように購入後のマンション経営では、ほとんどの業務を管理会社に委託することができます。
サラリーマンやOLの方にとって、投資用マンションの購入は少ない自己資金でも勤務先の肩書を活かしてローンを組むことができるので比較的はじめやすいと言えます。また、管理を委託すれば日常的な手間がかからないという点で、メリットのある投資法と言えるでしょう。
ただしマンションのオーナーとして、家賃収入と、毎月のローンの返済額や修繕管理費等の諸経費がいくらになるのか、また中長期的には毎月の固定費以外に空室時の入居者募集などでいくらの経費が発生するのかなど、きちんとした経営計画を立てることをお勧めします。
(写真=PIXTA)
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