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2016.01.15

インバウンド需要で活況を呈する首都圏ホテル市場

ホテル市場

円安などを背景に、近年、外国人旅行者数が大きく増加しています。訪日外国人旅行者たちがもたらす経済効果、いわゆる「インバウンド」需要が大変注目されています。2012年以降、日本を訪れる外国人旅行者は増加の一途をたどり、2013年には1000万人を突破。2015年は2000万人近くまで伸びました。日本政府は2020年までに訪日外国人旅行者数を「年間2000万人」とする目標を成長戦略として掲げていますが、2016年には確実に達成されると見込まれています。

東京、大阪のホテルでは予約が取れない?

日本を訪れる外国人旅行者の増加により、国内の宿泊施設は稼働率が上昇しています。中でも顕著なのが東京や大阪のホテルで、活況が続いています。

観光庁の「訪日外国人消費動向調査」によると、2012~2014年の都道府県別訪問率ランキングでは、3年連続で東京が1位、大阪が2位と上位を独占し続けています。また、観光・レジャー目的に限定すると、東京が48.5%、大阪が34.1%(2014年)と他県に比べて非常に高く、その人気の高さがうかがえます。

同じく観光庁の「宿泊旅行統計調査」では、東京と大阪の宿泊施設の客室稼働率は年々上昇し、2013年の後半からは8割前後で推移しています。このため、東京や大阪の主要なホテルでは、客室稼働率が高い状態が続き、宿泊予約が取りにくくなっています。

首都圏では外国人旅行者の宿泊対応に追われるあまり、出張などでホテルを利用したい日本人客が宿泊できないこともあるという状況です。2015年には外国人旅行者が急増したため、一部のツアー会社などでは春や秋の繁忙期に宿泊施設を確保できず、外国人旅行者の予約の受け付けができない事態も起きていました。

高止まりする客室料金

また、ホテルの稼働率が上がるにつれて、客室料金は急上昇しています。一般的には、ホテルの稼働率が80%を超えると客室料金が上昇するといわれますが、ホテルズドットコム(Hotels.com)の2014年上半期の「Hotel Price Index(HPI)」によると、日本の主要9都市のホテルの平均宿泊料金は、対前年比で12%も増加したとされています。

ビジネスホテルなど、本来は手頃な価格で宿泊できたホテルも、客室料金が値上げの傾向にあり、中には一泊数万円の高額料金を設定したビジネスホテルもあります。

インバウンド需要は今後も伸びる見通し

みずほ総合研究所の試算によると、東京オリンピックが開催される2020年には、2014年との比較で東京は931万人、大阪は836万人もの延べ宿泊者数が増加し、オリンピック後も外国人旅行者の数は増加し続けると見込まれています。

このような状況を背景に、「J.D.パワー アジア・パシフィック 2015年日本ホテル宿泊客満足度調査」で第1位を9度獲得しているリッチモンドホテルズは、2015年12月、浅草に「リッチモンドホテル プレミア浅草インターナショナル」をオープンしました。浅草寺に隣接した好立地で、外国人向けの商業施設もあり、イスラム教徒向けのハラールフードにも対応するなど、外国人旅行者をメインターゲットとしたホテルとして話題になっています。

今後は、このように外国人旅行者に特化した宿泊施設が増えていくことも予想されますが、その一方で首都圏のホテル関係者は、新たなホテルの開業には慎重になっている向きもあります。

2010年の上海万博の際、中国では多くのホテルが新たに開業されましたが、現在は客室稼働率が低下しています。首都圏のホテル関係者も、そのような事態を懸念しています。2020年の東京オリンピックという一大イベントが終わった後に、インバウンド需要が大幅に減ると、供給過剰になる懸念があるため、大きな投資に踏み込めないのです。

民泊の動向

現在、都内の旅館やホテルの客室数は約14万室です。訪日旅行客が2000万人となった場合、1万室が不足するとの予測もあります。これに対して政府は、外国人旅行者の宿泊施設不足への対応策として、一般家庭などに有料で旅行客を宿泊させる「民泊」の規制を緩和する方針を打ち出しました。これまで有料の「業」として旅行客を宿泊させるには、旅館業法に基づく許可を受ける必要がありましたが、2020年の東京オリンピックのように大規模なイベントが開催される時には、旅館業法の許可がなくても民泊を可能とすることが計画されています。

世界最大手の空き部屋仲介サイトを運営する「Airbnb」は、2015年11月民泊の規制緩和によって日本で年間約2220億万円もの経済効果が見込まれることを発表しました。Airbnbは、貸し手側が物件の間取りや料金などをインターネット上に登録し、借り手側は登録された物件の中から気に入った物件を借り、インターネット上で料金を支払うというシステムです。

今後、Airbnbや民泊の需要が増大し政府の規制が緩和していけば、賃貸物件のオーナーも新たな空室対策として、インバウンドでの「民泊」需要を取り込む必要が出てきそうです。

まとめ

外国人旅行者の宿泊施設の需要は、今後もますます増えていくと考えられます。宿泊施設の少ない首都圏において、賃貸物件のオーナーにとって、空室を宿泊施設として提供するというビジネスは需要が見込めるでしょう。それにはもちろん、民泊についての知見を得て、今後の政府や自治体の方針にも注視していく必要があります。うまく運用できれば空室の活用につながり、新たなビジネスチャンスが期待できるといえるでしょう。

(写真=PIXTA)

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