
マンション経営はなぜインフレに強いと言われるのか?
資産運用では、必ず考え、備えておかなければならないことがあります。その一つがインフレ対策です。
インフレとは簡単に言うと、モノの価値が上がり、おカネの価値が下がることです。安倍政権における経済政策の柱の一つは、長引くデフレ経済を脱却するために、年率2%のインフレターゲットを設定し、大胆な金融緩和措置を取ることでした。その結果、現在は大幅に円安が進み、株価も日経平均株価で2万円前後にまで回復しています。
これまでマンション経営はインフレに強いと言われてきました。日本経済がデフレからインフレへの転換点を迎えたかもしれない今、なぜマンション経営がインフレに強いと言われているのか、その理由について一緒に考えてみましょう。
インフレが資産に与える影響とは
インフレが起きるとあなたの資産にはいったいどのような影響が出るのでしょうか。簡単な例で考えてみます。
あなたは今、1億円の現金資産を保有しています。そのお金を使って1億円のマンションを購入しました。
その後、年率3%のインフレが20年続きました。冒頭でお伝えした通り、インフレとはモノの価値が上がる事です。20年後にあなたの不動産はどうなっているのかを単純計算すると、土地の広さも建物の大きさもまったく変わらないのに、5年後には約1億1600万円、10年後には約1億3440万円、20年後には約1億8100万円という価格になります。
もちろん、不動産の価格だけが上がったわけではなく、他のモノの価格も上昇しています。つまり、実質的な資産価値は変わらなかったということです。ところがその一方で、1億円を現金で持っていたら20年経っても1億円は1億円のままです。しかし、20年前には購入できた不動産はもはや買えないのです。言い換えると、1億円の現金の価値は実質的に約46%目減りしたわけです。
インフレは「ローン」にも良い影響を与える?
また、現金の価値が下がるということは、マンション経営において別の意味を持ちます。おカネの価値が下がるということは、実は借金が減ることを意味しています。もしあなたがローンを組んでマンションを購入していたとすれば、あなたの資産(マンション)の価値が高まる一方で、実質的な借金が目減りしたことになります。このような二重の効果が期待できることから、「インフレ時にはお金を借りてでも、現物資産に投資しろ」という格言は生まれています。
しかも、過去に起きたインフレのケースをみてみると、不動産に対する価値は他のモノの価値よりも高くなる傾向にあります。不動産投資ではローンを組んで金融機関から融資を受けるなり、匿名投資事業組合(SPC)を組成するなり、資金調達した上で投資するケースが多いので、ある意味インフレ時に適した投資と言えます。そういったことも、マンション経営がインフレに強いと言われる所以の一つです。
「インフレに強い現物資産」とは?
さて、インフレ時にはモノ(現物)に投資するのが有効であることはわかりました。しかし、現物投資と言ってもいろいろあります。そこで、あなたにとってどんな現物資産が一番得なのか、ここで少し考えてみましょう。不動産以外の現物資産と言えば、株式や債券が挙げられます。また、金、銀、プラチナといった貴金属もそうでしょう。それぞれを比較してみます。
まず、株式や債券には配当や利息がありますが、金などの貴金属にはありません。株式や債券は、発行する会社や組織が破たんすると、無価値になってしまいます。その一方で、貴金属が破たんすることはありませんから、無価値になることもありません。
特に金は歴史上価値を失ったことが無い現物資産の代表です。戦争後のハイパーインフレが起きても、それが理由で預金が封鎖され物々交換しなければならなかった時でも、金の価値は落ちることなくその希少性からむしろ上がりました。そう考えると、インフレに強いとされる現物資産の中では、株式や債券より貴金属をもっておいたほうが良さそうです。
「不動産>貴金属>株式・債券」という図式
では、これらと比較して不動産はどうでしょうか。まず、土地や建物が破たんすることはありませんから無価値になることはありません。そう考えると、株や債券よりは安全と言えるでしょう。また、上述した通り、インフレになると土地や建物の資産価値は相対的に上昇します。ここまでは金などの貴金属と同じです。しかし、金と不動産の間には決定的な違いがあります。それはあなたが投資したマンションは、毎月の家賃収入をもたらすということです。
インフレに強い貴金属は、その価値が上昇することがあっても、配当や利息、家賃収入は生み出しません。ちなみに家賃の金額は、原則として物価とともにスライドします。物価が上昇すれば、家賃も上昇するのです。言い換えると、インフレが起きたとしても、あなたにもたらされる実質的な収入は変わらないということです。マンション経営がインフレに強いと言われる最大の理由はここにあると言えるでしょう。
2019年、果たして今はインフレなのか
さて、最後に考えておかなければならないことは、現在のマンション経営を取り巻く環境です。日銀は、2015年10月30日に公表した「経済・物価情勢の展望」の中で、「生鮮食品を除いた消費者物価指数(コアCPI)は2016年後半に2%に到達する」と発表しました。
実際には2%には遠く及ばず、2016年は前年比-0.3%成長となったものの、翌年2017年は前年比0.5%上昇、2018年には0.9%上昇しています。
わかりやすくいえば、緩やかなインフレが続いている状態なのです。
原油価格の下落が物価上昇を弱くしているものの、エネルギー関連以外の品目で物価が上昇していることから、「デフレに逆戻りするリスクは低い」とも判断できます。まだ名目賃金の上昇が伴っていないので、私たちの間ではインフレの実感が薄いかもしれません。
しかし大企業の中には、すでに給与が増えたり、ボーナスが増えたりしているところもあります。そう考えると、やはり現在の日本経済はインフレ基調にあると考えて間違いないでしょう。しかも、安倍政権は2%のインフレターゲット実現のために、今後も金融緩和を継続する方向とみられています。私たちにとっては、お金が借りやすい状況が続くということです。これはインフレに強いマンション経営にとっては、追い風と言えそうです。
ハイパーインフレでも守れる資産とは
もし私たちに今、何か大きなリスクがあるとすれば、それはこの史上空前の金融緩和が原因で、ハイパーインフレが起きることではないでしょうか。ハイパーインフレとは、インフレが進みすぎた状態を言い、国際会計基準の定めによれば、「3年間で累積100%以上の物価上昇」が要件のひとつとされています。現状、「すでにその下地は出来ている」と指摘する専門家もいます。
ハイパーインフレになれば、お金の価値が1日で100分の1になることだってあるかも知れません。しかし、そうした時でも自分の資産を守る方法はあります。きっと、ここまで読んで下さった読者の方なら、すでにその答えが分かっていらっしゃることでしょう。インフレに強い現物資産である不動産、そしてさらに収入を生み出すマンション経営という選択肢は、インフレ傾向にある今、確実に検討に値する資産であると言えるでしょう。
(写真=PIXTA)
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