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不動産エコノミスト 吉崎 誠二(よしざき せいじ)
㈱船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者、(株)ディーサイン取締役 不動産研究所所長を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。 http://yoshizakiseiji.com

【第16回】データで解説! 首都圏の新築投資用マンションの販売価格は今後どうなる?

2023年8月

 賃貸マンションのキャップレートは史上最低水準に低下しており、「たとえ低い利回りでも投資用マンションを購入したい」という旺盛な需要が感じられます。近年、多少賃料が上昇してきましたが、それを上回る勢いで投資用マンション価格は上昇しています。今回の原稿では、「首都圏の新築投資用マンションの販売価格」の最新の動向と今後の見通しについて解説します。

新築マンションの約10%は投資用マンション

 (株)不動産経済研究所の調べによれば、2022年の1年間に発売された投資用の新築マンションは5,961戸(131物件)でした。首都圏で22年に発売された新築マンションは2万9,569戸でしたので、約20.1%が投資用マンションだったことになります。
 一般的に、投資用マンションは、主に単身用のワンルームや1K、1LDK、広さは25㎡前後~35㎡くらいの部屋が中心の分譲マンションのことを指しますが、近年は、一般的なファミリータイプの部屋がメインの分譲マンションにおいても、自宅ではなく賃貸用(=投資)として購入される投資家もいますので、この辺りの線引きが難しくなっていることに留意が必要です。

2013年以降の投資用マンションの販売戸数の動向

 首都圏の投資用マンションは、2019年以降概ね6,000戸前後で推移しています。
 金融緩和政策が導入され、低金利となったことが追い風となり、不動産投資(特に区分マンション投資)は、2013年頃からサラリーマンなどへ広がり、広く一般的になりました。2013年以降の年ごとの新築投資用マンションの発売戸数をみれば、6,000~7,000戸台が続いています。新築マンションの分譲が急激に伸びた2000年台前半は、投資用マンションの新規分譲数も8,000戸台を超えていましたが、リーマンショック後は減少します。このころは、需要が減った(=投資を行う方が減った)ことが要因と思われますが、ここ10年は投資用マンション需要は旺盛にも関わらず、あまり供給数が増えず横ばいが続いているのは、投資用マンション適地が不足しているからでしょう。投資用マンションに相応しい立地であり、投資家が求める利回りを確保できる、という条件を満たしている土地が不足してきているということです。

首都圏の新築投資用マンション価格動向

 次に、販売価格をみてみれば、2022年発売の投資用マンション平均価格は3,284万円、㎡単価は121.4万円で、前年の3,132万円、116.9万円に比べ、1戸当たりの価格は152万円(4.9%)、㎡単価も4.5万円 (3.8%)上昇しています。

 図をみれば、先に述べた2013年頃からの不動産投資が広く広まった頃から、㎡単価の上昇が続いていることがわかります。リーマンショック直後の2009年と比べると、2022年の平均価格は961万円、㎡単価は22.9万円上昇しています。価格は上昇していても旺盛な需要に支えられて販売戸数が安定していることがわかります。

 グラフをよくみれば、21年に㎡単価が僅かに下落していることがわかります。新型コロナウイルスの影響も多少あったと思われますが、それ以上に大きな影響をもたらしたと考えられるのが、供給された新築投資用マンションの地区に変化が見られたことです。2009年以降の首都圏における新築投資用マンションの供給エリア(市区別)をみれば、毎年のベスト5は、ほぼ東京23区のいずれかとなっています。
 2009年~2020年までの13年間のベスト5(のべ65)のうち、横浜市中区が2回や川崎市川崎区1回、川崎市中原区が1回ランクインしていますが、それ以外の61分は東京23区となっています。しかし、21年は上位5エリアのうち、3位と4位は東京23区外でした(横浜市南区、川崎市中原区)。

23年上期分は供給エリアに変化のキザシ

 こうした傾向は、需要が旺盛ながらも、先に述べたような「投資用マンション適地」が不足しており、デベロッパーが適地を求めて23区外に目を向けているからでしょう。
 このところの深刻な適地の不足は販売戸数にも表れており、23年上期(1~6月)に供給された新築投資用マンションは56物件、2,820戸となっていますが、これは22年上期の84物件、3,678戸に比べて3割以上の減となっています。
 また、23年上期の供給エリアのランキング上位では、1位「横浜市南区」、2位「横浜市中区」、3位「横浜市神奈川区」、ですべて横浜市内となっています。また、全体に占めるこの3地区の割合は32.3%となっています。、続いて4位は「東京都江東区」、5位は「川崎市中原区」と、これまでとはだいぶ状況が変わってきています。
 東京23区では、適地を獲得するための競争が、同業他社間だけでなく、異業種(例えば、一般分譲マンションビジネスホテル)間でも激化してきており、このように横浜や川崎での供給が増えるものと思われます。今はまだ23区内に比べて、㎡単価は多少低いと思われますので、23年の首都圏全体での平均単価は下がる可能性があります。しかし、このような地域でも、いまのような旺盛な需要が続けば、投資用マンションの価格上昇可能性は極めて高いでしょう。

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