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ファイナンシャルプランナー 大竹 のり子(おおたけ のりこ)
編集者を経て2005年4月に女性のためのお金の総合クリニック「エフピーウーマン」を設立。 現在、雑誌、講演テレビ・ラジオ出演などのほか、女性FPによる個人マネー相談や人生の“やりたい”を“できる”に変えるための「お金の教養スクール」を運営中。『なぜかお金に困らない女性の習慣』(大和書房)『老後に破産しないお金の話』(成美堂出版)など著書は70冊以上に及ぶ。https://www.fpwoman.co.jp

【第9回】不動産の「資産価値」、どうやって見極める?

不動産を買う前も、そして買ったあとも把握しておきたいのが不動産の資産としての「価値」。物件価格と価値を比較することは、価格が割安なのか、割高なのかを知る大きな手掛かりにもなります。そこで今回は、不動産の資産価値を見極めるための方法についてご紹介します。

■不動産の資産価値は、土地と建物の価値の合計で求められる

まず、基本中の基本となりますが、一戸建てにしろ、区分マンションにしろ、1棟アパートにしろ、土地と建物それぞれに価値があります。そのため、土地と建物それぞれの価値を算出し、合計することで不動産全体の価値を求めることができます。

詳しくは後述しますが、土地の価格には「実勢価格」「公示価格」「相続税評価額」「固定資産税評価額」といった複数の指標があります。こうしたことから、土地の価値は「一物四価」とも呼ばれます。これらの評価がどうなっていくのかによって価値が年々上昇していく場合もあれば、ほとんど変わらない場合も、下落していく場合もあります。

一方の建物の価値は、その建物を再度、建築した際にいくらかかるのかという「再調達価格」から、築年数に応じた分、減価、つまり価値を差し引いていくことで求めるのが一般的です。言い換えれば、年月が経過するほど基本的に資産としての価値は減少していくことになります。

また、一戸建てや1棟アパートの場合には、それらの建物が建っている土地の価値と建物本体の価値を単純に合計すればよいことになりますが、区分マンションの場合には少し複雑になります。なぜなら土地は全部を自分のものとして所有しているわけではなく、なおかつ、建物についても自分が所有しているのは建物の専有部分のみだからです。ですから、土地についても、建物についても、まず全体の価値を算出した後に、建物全体の面積に対する専有部分の面積の割合を掛けて、自分が所有している部分の価値を求めることになります。

こうしたことから、一般的に同じ不動産投資であっても、一戸建てや1棟アパートの場合には、資産価値全体に占める土地の割合が高くなりやすい傾向にあります。特に建物が古い場合などは資産価値のほとんどが土地の価値である場合も少なくありません。一方、区分マンションの場合には、土地そのものの価値はあまり期待ができません。特に、高層のマンションであればあるほど土地の面積に対する建物の面積が大きくなりがちですので、こうした傾向は顕著になると言えるでしょう。

■土地の「4つの価格」とは?

前述したように、土地には、大きく「実勢価格」「公示価格」「相続税評価額」「固定資産税評価額」という4つの価格があります。これら4つの評価は、多くの場合、価値を算出して何に活用したいのかという用途によって使い分けます。

「実勢価格」とは、端的に言えば、実際に取引されている市場価格のことです。土地を購入してしばらく経つと、国土交通省から取引価格についての情報提供を促すアンケートが送られてきます。このアンケート情報を集計した情報は、「土地総合情報システム」で確認することができます。物件がある地域を選ぶと実際の取引価格が表示されますので、その中で駅からの距離や面積などが最も近いものを参考にすると「実勢価格」をつかむことができます。

ただし、市場価格は同じような場所にあっても土地の形状やどういった建物が建っているかなどによって大きく差が開きます。さらに、あまり頻繁に取引が行われない地域では古いデータしかなかったりするので、あまり参考にならないこともあるので注意が必要です。

「公示地価」とは、国土交通省が地価公示法に基づいて毎年発表している価格です。毎年1月1日時点における標準地の1㎡あたりの土地の価格が、その年の3月中旬に発表されます。「公示地価」が発表される標準値は全国津々浦々に及ぶのではなく、全国に設定されている2万5,000〜3万地点のみとなっています。したがって、標準地以外の土地の価格を知りたい場合はあまり参考にならない、ということになります。

「相続税評価額」とは、国税庁で相続税や贈与税を算出する際に基準とされる土地の価格を指します。国税庁が毎年7月頃に発表している、路線(道路)に面する標準的な土地の1㎡あたりの価格である「相続税路線価」に、実際の土地の面積を掛けることで土地全体の価格を算出することができます。一方、「固定資産税路線価」を発表しているのは各市町村。こちらは3年に1回の基準年の4月頃に発表され、固定資産税や都市計画税を算出するための基準となります。

「固定資産税評価額」とは、土地の固定資産税や都市計画税、不動産取得税などを計算する際に用いられる価格です。各市区町村が3年に1回、価格を設定する「固定資産税路線価」をもとに土地の面積を掛けて算出します。最新の「固定資産税評価額」は、土地の購入後であれば、毎年送られてくる固定資産税の納税通知書で確認できますし、その前であれば、固定資産税の評価証明書や公課証明書を申請することでも確認できます。

このように土地には大きく4つの価格があります。一般的に「相続税評価額」は「公示価格」の約80%、「固定資産税評価額」は「公示価格」の約70%の価格になる場合が多いようです。

■建物の資産価値を見極める方法

では、建物の資産価値はどのようにして見極めるのでしょうか。建物の資産価値は築年数に応じて減少されていくわけですが、実際にどのようなペースで減価となるのかの鍵を握っているのが「構造」と「法定耐用年数」です。

建物の「再調達価格」はRC、鉄骨、軽量鉄骨、木造といった構造ごとに目安となる金額があります。RCで1平米あたり20万円前後をひとつの目安としたとき、50平米の新築の建物であれば、1,000万円が「再調達価格」ということになります。

そして、「法定耐用年数」は、RCであれば47年と決まっています。これを踏まえると、「再調達価格」が1,000万円の建物であれば、再調達価格1,000万円÷法定耐用年数47年=約21万円ずつ毎年、価値が減少していき、47年後にゼロになる、ということになります。ちなみに、中古住宅を購入した場合の耐用年数は新築と異なり、 (法定耐用年数-築年数)+築年数×20%でとなります。築20年のRCであれば、耐用年数は47年−20年=27年、となるのではなく、(47年-20年)+20年×20%=31年となります。

とはいっても、こうした「再調達価格」をもとにした価値は、概念上のものに過ぎないというのも事実です。築年数が古くても立地がよく、管理がしっかりされていれば、市場での価値そのものが下がっていくとは限りません。むしろ年数が経過しても上昇していく場合もあります。特に投資用不動産の場合には、収益性が高い物件であればあるほど市場価値は下がりにくいと言えます。不動産の「資産価値」を見極める際には、これらの基準をもとに客観的な価値を確認したうえで、収益性なども鑑みながら総合的に判断していきたいものです。

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