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不動産エコノミスト 吉崎 誠二(よしざき せいじ)
㈱船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者、(株)ディーサイン取締役 不動産研究所所長を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。 http://yoshizakiseiji.com

【第13回】データで解説!2000年から現在の新築投資用マンション市況の変遷と今後の見通し

2023年5月

投資用マンション供給が多かった2000年代前半、その理由は?

 2000年代前半は、「持たざる経営」が推奨され、企業が所有する遊休地や社宅用地などの売却が進み、首都圏で土地の流通が活発になりました。そのため2000年からミニバブルと呼ばれた2008年ごろにかけて、過去に類を見ないほど分譲マンションが建築されました。 
 また、同時期には、分譲マンション用地よりはやや小さいサイズの賃貸用マンション適地(土地や立地が相応しい土地)も多く供給され、それに伴い開発・販売戸数が増大しました。

 ■図1

 図1を見れば、2001年から2008年にかけて、首都圏で多くの投資用のマンションが供給されたことがわかります。その後、リーマンショックが影響して09年から11年は供給量が減り、また不動産投資を行う方も一時的に減りました。

金融緩和政策が不動産投資の裾野を広げた

 しかし、2013年春以降状況が変わります。日銀による「異次元の金融緩和策」が実行され、金利が徐々に「歴史的な水準」にまで低下しました。また合わせて、「インフレ目標を2%にする」と日銀が表明したこともあって、「低金利のメリットの享受」と「インフレ対応策」の2つを兼ね備えた「賃貸住宅への投資」を行う方が一気に増えました。かつては高年収サラリーマンや士業などが購入していた投資用マンションでしたが、普通のサラリーマンやOLの方々も購入(投資)するようになり、不動産投資の裾野が広がりました。

需要旺盛でも投資用マンション供給が伸びない理由は?

 しかし、需要が旺盛にも関わらず、図1のように投資用マンション供給は以前のように増えていません。低金利が続く中で、ビジネスホテルや分譲マンションの建築が増え、土地仕入れにおける価格競争が激化していることが背景にあります。
 投資用マンションのうち、とくに区分マンション投資では、「立地」は最重要ポイントであるため、好立地を仕入れたいデベロッパーが増え、マンション用地は高騰しました。土地価格の高騰に加えて、コロナショック後は建築費も高騰しており、販売価格は上昇しました。 「利回りが伸びない」、また「キャッシュフローがよくならない」、となれば需要が減りますので、マンション開発・販売に慎重になって吟味して土地を仕入れているわけです。

 こうして、都心の区分マンション投資における新築物件は、以前に比べて高額になっているものの、供給数が少ないため、吟味して選び開発した好立地の物件は、発売すればあっいう間に完売となっているようです。

首都圏における投資用マンション供給エリアトップ5はどこ?

 とはいえ、このところは都心の投資用マンション適地が激減しており、情報が出ても高額であり、加えて多くの業者が入札に応じていることもあり、なかなか「都区部で土地の仕入れは難しい」状況になっているようです。

 こうしたことが分かるのが図2です。

 ■図2

 図2は2009年から21年までの(22年分はまだ公表されていません)、首都圏における投資用マンションの供給エリア(市区別)トップ5の変遷を示しています。これをみれば、21年は初めてトップ5エリアに23区外が2エリア(横浜市南区、川崎市中原区)ランクインしました。都区部での用地仕入れが難航、もしくはかなり高額になっていることから、主戦場が移ってきていることがうかがえます。
 こうした状況は、同じ期間の平均㎡単価の推移を見ても、分かります。

首都圏における投資用マンション平均㎡単価の推移

 ■図3

 図3は、首都圏における投資用マンションの平均㎡単価の推移を示しています。概ね右肩上がりに価格上昇していましたが、21年は4年ぶりに平均㎡単価が下がりました。20-21年は、建築費の上昇幅が近年で最も大きかった時ですので、下がった理由は土地価格の安いエリアでの建築が増えた事が要因と考えられます。

今後の見通し

 別稿での執筆を予定していますが、この先しばらく現在の低金利が続く見通しで、不動産投資需要がまだまだ続くと思われます。さらに、土地価格の上昇、そして建築工事費は、材料費は落ち着きを見せ始めていますが、労働人件費が高騰しており、今後も上昇を続けることが確実でしょう。

 このようなことから、需要は旺盛が続きますが、新規の投資用マンションの供給は、さらに少なくなる見通しです。特に都区部での新規販売件数は、しばらく少なくなると思われますので、確かに以前より価格は高くなっていますが、好立地物件は「早期に完売」という状況がしばらく続くと思われます。

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