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ファイナンシャルプランナー 大竹 のり子(おおたけ のりこ)
編集者を経て2005年4月に女性のためのお金の総合クリニック「エフピーウーマン」を設立。 現在、雑誌、講演テレビ・ラジオ出演などのほか、女性FPによる個人マネー相談や人生の“やりたい”を“できる”に変えるための「お金の教養スクール」を運営中。『なぜかお金に困らない女性の習慣』(大和書房)『老後に破産しないお金の話』(成美堂出版)など著書は70冊以上に及ぶ。https://www.fpwoman.co.jp

【第11回】リスクを回避するための火災保険・地震保険の入り方

不動産投資にはいくつかのリスクが存在しますが、そのひとつが、火災や地震などの自然災害によるリスクです。そこで今回は、火災や地震などのリスクを回避するための火災保険・地震保険の入り方のポイントについてご紹介します。

■火災保険の保険料は近年、上昇傾向にある

火災保険は、火災によって建物が被害を受けたときに保険会社から給付金が支給される保険です。火災保険は、不動産投資に限らず自宅についても必ず加入すべき保険のひとつですので、多くの人にとって馴染みがあるはずです。

火災保険で知っておきたいのは、補償の対象となるのが火災だけではないということ。風災や雹災、雪災、水災、漏水による水濡れなど幅広い補償が用意されています。特に近年、局地的な台風や豪雨など異常気象とも言える現象が増えてきています。損害保険料率算出機構のデータによると、住宅の出火件数や火災や落雷などによる保険金の支払い金額は概ね横ばいである一方、台風や豪雨などの自然災害による保険金の支払金額は増えており、風災・雹災による保険金の支払い金額は、2016年が378億円、2017年が766億円だったのに対し、2018年は6,379億円、2019年は3,787億円と一気に増加しています。

また、こうした状況に伴い、保険料も年々値上がりしています。火災保険をはじめとする損害保険の保険料は、保険金の支払い状況などを見ながら定期的に改定が行われていますが、台風や豪雨などの自然災害が急増したことから、2022年10月には過去最大規模の引き上げが行われました。

不動産投資をする上で悩ましいのは、いくら保険料が値上がりしようとも、リスクを回避するためには火災保険に加入することは避けては通れない、ということです。融資を受ける際にも、金融機関によっては火災保険への加入が必須要件である場合も少なくありません。家賃収入が同じであるならば、火災保険料が引き上げになるほどキャッシュ・フローは悪化してしまいます。収益物件の購入の際には、火災保険料の引き上げも想定したうえで、余裕を持ったキャッシュ・フローで収支を見通すことが重要と言えるでしょう。

■火災保険の保険金額はできるだけ大きく

火災保険に加入する際に意識したいのが、保険金でリスクがしっかり切り離せるのか、ということです。

万が一のことが起こった場合に受け取れる保険金額は、契約時にあらかじめ設定した保険金額が上限となります。例えば火災によって損壊してしまった建物を建て直すのに2,000万円必要なのに、保険金額の上限が1,000万円しかない、というのではリスクが切り離せている状態であるとは言えません。

では、どうすれば火災保険によってリスクを切り離せるのでしょうか。その手掛かりとなるのが、再調達価額(新価)と時価という2つの基準です、

再調達価額(新価)とは、万が一の場合に、これまでと同等の建物を新たに建築するのに必要な金額を想定した金額を指しています。一方の時価とは、その建物の、その時の価値を指します。建物の評価としての価値は年月とともに減少していきます。ですから、時価評価で保険金額を設定した場合、実際に火災や台風などの被害を受けた場合でも、これまでと同等の建物を建てるのに必要な金額が受け取れない可能性が高くなってしまいます。不動産投資におけるリスク回避を考えるうえでは、火災保険は時価ではなく再調達価額(新価)で保険金額を設定することが大きなポイントと言えます。

これから新たに物件を取得する人はもちろん、すでに収益物件を持っている人についても、加入している火災保険の保険金額が再調達価額(新価)になっているかどうかをいま一度確認することをおすすめします。

■火災保険の保険金額が地震保険にも影響する

誰もが知っている通り、日本は世界的に見ても地震が非常に多い国です。ですから、不動産投資のリスクを減らすという意味では、地震保険への加入も火災保険と同様、あるいはそれ以上に重要です。

また、たとえ火災によって建物が損壊した場合でも、その原因が地震によるものだった場合には、火災保険では補償されません。地震によって起こった津波も同様です。地震の発生から派生した火災や損壊・流失による被害を補償するのは、火災保険ではなく地震保険ということになります。

とはいえ、地震保険には大きな制約があります。それが、地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の50%を上限とするルールがある、ということです。つまり、火災保険で再調達価額(新価)として2,000万円の保険金額を設定しても、地震による火災で建物が滅失した場合には、その50%の金額である1,000万円しか保険金を受け取れないということになるわけです。

こうした状況を打開するために知っておきたいのが「特約」です。保険商品によっては、「地震火災費用特約」や「地震危険等上乗せ補償特約」といった特約を火災保険に上乗せできる場合があります。こうした特約を活用することで、火災保険と地震保険の保険金額の差分を埋めることができれば、万が一のことがあった場合でも、これまでと同等の建物を建てられるだけの保険金を受け取れる状況が作れるわけです。

もちろん、基本となる保険金額を大きくすればするほど、あるいは特約をつければつけるほど保険料は高くなります。コストがかさむという意味では保険料が高くなるのはあまり喜ばしいことではありません。でも、不動産投資は金額が大きいだけに、何かあった場合のリスクも大きくなりがちです。何かあっても手元資金でカバーできるだけの余裕があるという場合を除いては、必要な保険金額をしっかりと見極めたうえで、火災保険や地震保険を活用してリスクを回避できる状況を作り出しておくことがとても重要といえるでしょう。

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