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住宅コンサルタント 野中 清志(のなか きよし)
株式会社 オフィス野中 代表取締役。大手マンションディベロッパーの営業を経て、ワンルームマンションディベロッパーにて執行役員を歴任。2003年に株式会社オフィス野中を設立。 「お客様の立場に立った購入アドバイス」を実践し、不動産の豊富な知識と業界30年の経験を活かしたコンサルティングをおこなう。

2017年路線価発表。銀座「鳩居堂」前はバブル期を超える価格に

 2017年7月3日に国税庁から路線価が発表されました。これは相続税や贈与税などの算定基準となる価格で、2年連続の上昇となりました。
 長く下落の時期が続いていましたが、2016年には全国平均で上昇に転じ、2017年には特に東京中心部など、都心部で大きく上昇しました。
 上昇した理由としては、訪日外国人の急増に伴うホテル建設などの土地需要が高まっている事も要因の一つで、この事がマンションの賃料や価格にも影響が出てくることも考えられます。

 2017年に路線価が日本一となった場所は中央区銀座5丁目の「鳩居堂」前で、過去最高だったバブル期の1992年の価格を上回りました。

 その当時と時代背景が違うのは、当時は金利が極めて高く、また「土地転がし」などが多く見受けられた時代でした。
 現在は低金利の中で「実需」を伴う健全なマーケットであり、今後地価が大きく下がる可能性は低いと考えられます。

 路線価は国土交通省から発表される2017年1月1日時点の公示地価の約7割を基準に算定されています。地価動向について2017年の公示地価を参考に見てみましょう。

2017年公示地価は2年連続の上昇

 全用途では全国で2年連続の上昇となり、住宅地では9年ぶりに下落から横ばいに、商業地では2年連続の上昇となりました。
 東京や大阪などの都心部を中心に地価の上昇率が大きくなっています。
 東京都の地価は住宅地で1.9%、商業地で4.8%の上昇となりましたが、東京都区部では住宅地で3.0%、商業地で5.5%の上昇と、都心部ほど地価上昇率が高くなっています。

2017年公示地価

地域別対前年平均変動率<東京圏>

  住宅地 商業地
平成28年 平成29年 平成28年 平成29年
東京都 1.7 1.9 4.2 4.8
 東京都区部 2.8 3.0 4.8 5.5
神奈川県 0.1 0.0 1.5 1.6
埼玉県 0.1 0.2 0.8 0.9
千葉県 0.2 0.2 1.1 1.7

東京圏の商業地の変動率上位市町村

順位 市町村
1位 東京都中央区 9.8%
2位 東京都渋谷区 8.7%
3位 東京都千代田区 7.1%

商業地の上昇率が年々加速

 最近の地価動向の傾向としては、ワンルームマンションやホテル・ビル・商業施設などの建設される「商業地」の地価上昇率が年々高くなっているのが特徴です。
 商業地は、エリア別では東京で最も上昇率が高かったのは「中央区」で、平均で9.0%の上昇となっています。これは「中央区」には「銀座」や「八重洲」、「日本橋」などの高級商業地域があることも影響しています。

 地価の最高点を見ると、銀座の山野楽器本店地点が1平方メートル当たり約5,000万円となっており、さらに前年比約25%もの上昇となっています。他に銀座は全国の価格高順位4位までが入っており、さらに前年比で30%近く上昇している地点があるなど、銀座エリアの地価水準の高さが分かります。

 国土交通省では、地価が前年比30%近く上昇した銀座5丁目の上昇要因について「銀座みゆき通り※周辺では、再開発事業の進展や店舗等リニューアルも見られるなど、繁華性の向上から店舗賃料が上昇し、地価が上昇している」と分析しています。
 他にも渋谷区の商業地が平均で8.7%、次いで千代田区の商業地が7.1%と再開発の進むエリアの商業地地価が上昇しています。

 商業地域の地価においては、ビルの空室率が一つの重要な指標となりますが、現在の東京都心部のビルは空室率は2%台と極めて低く推移しています。
 2018年10月竣工予定の丸の内3-2計画(三菱地所・東京商工会議所・東京會舘による共同プロジェクト)ではリーシングが既に90%以上が終了するなど、旺盛な都心部のオフィス需要が地価の上昇が継続する要因の一つとなっています。

※みゆき通り:晴海通りの南側に並行した通り。高級店も多い。

訪日外国人と地価の関係は

 商業地の地価上昇には訪日外国人の増加も影響を与えています。日本を訪れる外国人の数は年々増加しており、日本政府観光局(JNTO)の発表によると2016年の訪日外客数は約2,403万人となり統計開始の1964年以来最も多くなりました。2017年は前年比12.0%増加の2,700万人と予想されています。
 政府が目標とする2020年までに4,000万人に、このまま推移すれば達成すると見られています。

 このような訪日客は、宿泊や買い物などの消費などで大きな経済効果があり、訪日客が多く訪れるエリアの地価にも影響を与えます。
 特に都心などの商業地では訪日客の消費も大きく、店舗需要の増加から地価も上昇しています。銀座などの地価上昇は訪日客の影響も大きいと考えられます。

訪日外客数の推移

2014年 2015年 2016年 2017年1~5月
訪日外客数(人) 13,413,467 19,737,409 24,039,700 11,410,700
伸率 29.4% 47.1% 21.8% 17.3%

東京オリンピックと地価

 地価変動の要因に再開発があります。現在東京を始め周辺部でも大規模な再開発が進んでおり、今後の地価動向にも影響が出る可能性があります。
 「東京駅」前には日本一の高さのビルが計画されています。また日本橋エリアの再開発も進み、東京駅東側は証券の街である茅場町まで、国際金融街としての発展も見込まれています。
 「東京」駅西側の大手町エリアでも、古くなったビルの建て替えが進み、星野リゾートによる温泉の開業なども注目を集めています。
 「品川」駅と「田町」駅の間には山手線の新駅が計画され、駅前には多くのビル建設を含む大規模な再開発が計画されています。
 「渋谷」では今世紀最大とも言われる再開発が進行中です。
 このように都内ターミナル駅などを中心として進む大規模な再開発により、企業や商業施設なども誘致され、就業人口が増加、周辺の住宅需要も増加します。

 東京が発表した東京五輪・パラリンピックの「大会開催に伴う経済波及効果」によると、大会招致が決まった13年から大会10年後の30年までの18年間で、東経済波及効果(生産誘発額)は東京都で約20兆円、全国で約32兆円としています。また雇用誘発数は東京都で約130万人、全国で約194万人としています。
 東京五輪に向けて東京はさらに一層の盛り上がりも期待されています。

2020年東京五輪の経済効果

  東京 全国
経済効果 20兆4,407億円 32兆3,179億円

<東京都資料より>

新・小池都政と「国際金融都市構想」

 2017年7月には都議会選挙が行われ、小池百合子都知事が代表を務める「都民ファーストの会」が49議席を獲得し、都議会第1党となりました。公明党など支援勢力と合わせて79議席となり、過半数の64議席を上回る結果となりました。

 小池都知事は東京都がアジアの金融ハブを目指す「国際金融都市構想」の骨子を2017年6月に発表しています。東京がアジア・ナンバーワンの国際金融都市として輝くために、税負担の軽減や規制緩和、フィンテック産業の育成、職住近接化プロジェクト等の推進など様々な政策が掲げられています。

国際金融都市・東京が具体的に目指す姿

1 アジアの金融ハブとしての国際金融都市・東京
2 金融関係の人材、資金、情報、技術が集積する国際金融都市・東京
3 資産運用業とフィンテック企業の発展に焦点をあてた国際金融都市・東京
4 社会的課題の解決に貢献する国際金融都市・東京

<東京都「国際金融都市・東京」構想骨子 平成29 年6月>

この構想が進められれば、さらに東京の経済力や資産価値も向上する可能性があります。

二極化の進む地価

 地価の動きは経済の動きや産業構造の変化によっても影響度が変わってきます。昨今はどこの業界も人手不足と言われていますが、ITの進化により物流施設も大幅に増えており、これも地価を上げる要因となっています。
 一方、人口減に拍車がかかっている地方都市においては、路線価も下落基調となっており、今後は地価の二極化がより鮮明となっていくでしょう。
 ワンルームマンションは商業地など利便性の高い地域に建設されることが多く、用地がホテルや商業施設、ビルなどと重複し、今後は用地需要増から価格の上昇も見込まれます。
 すでにワンルームマンションは都心部から都心周辺部や神奈川県の川崎や横浜などにも多く発売されています。
 都心周辺の利便性の高いエリアは、今後一層の地価上昇も予想されています。ワンルームマンションの発売エリアも広がってくるのではないでしょうか。

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