第4話「夫婦最⼤の危機!まさかウチの妻に限って・・・」

「保障内容はほとんど同じなのに・・・」~PM6:00 外回りの帰りに同僚Aと渋谷の街を歩く翔太~
翔太:しかしこの間は驚いちゃったよな、Bのやつ・・・。
同僚A:ああ、マンション経営の話だろ。
翔太:そうそう、おれたちと給料はそれほど変わらないはずなのに、すごいよな。
同僚A:Bのところは3人目も産まれるからな。もし自分に何かあったら、奥さんと子どもに何が遺せるだろう、って真剣に考えたって言ってたよ。
翔太:そうか・・・あと団信?だっけ。あれにもびっくりした。
同僚A:団体信用生命保険な。ちょっと調べてみたけど、本当に普通の生命保険と変わらない保障がついてるんだよな。
翔太:そうなの?
同僚A:死亡保障やガンはもちろん、糖尿病や心臓病なんかの生活習慣病だろ。入院期間中はローンの返済が免除されたり、入院が12ヶ月続くとローン残額がゼロになる保障、なんてのもあったな。
翔太:そっか、ローンとセットになっているから、そっちが保障される訳だな。
同僚A:死亡の場合はローン残高がゼロになるから、奥さんと子どもには無借金のマンションだけじゃなく、毎月の家賃収入もそのまま遺せることになるんだって。
翔太:死亡だなんて縁起でもないけど。でも、自分に何かあっても、家族を路頭に迷わせなくてもいい安心は大きいよな。
同僚A:しかも、ウチが入っている生命保険と保障内容はほとんど同じなのに、毎月のランニングコストは団信のほうが安いんだよな~!月額にすると、うちの保険料の1/3くらいだった。
翔太:え~!そうなの?!でも、Aのところは特約で奥さんのガン保障もつけてるって言ってたじゃん。団信はさすがにそこまでは保障してくれないだろ・・・。
同僚A:それが、オプションであるんだよ。
翔太:あるんだ!

「あの姿は汐里?まさか・・・」
同僚A:そういえばさ、配偶者って事実婚とか内縁関係でも保障してくれるらしいよ。
翔太:・・・なにを唐突に。俺らには関係ない話だろ!
同僚A:まぁな。一応知識として知っておいたほうがいいかな、と思ってさ。
翔太:なんだよそれ。うちは法的にちゃんと夫婦だし、仲もいいぞ!Aもそうだろ。
同僚A:ああ、もちろん言ってみただけだよ。じゃあ、駅こっちだから、また明日会社で。奥さんによろしく!
翔太:・・・なんだよAのやつ。汐里が聞いたら、冗談でもすごい怒りそうだな。・・・って、あれ?
~汐里に似た女性が、見知らぬ男性と少し先を歩いているのを見つける翔太~
翔太:え、汐里?!今ごろは蓮のお迎えに行ってくれているはず・・・そういえば今日は遅くなるから、市川のオフクロにお願いしてるんだっけ。え、仕事で遅くなるんじゃなかったの??
~ふらっと後をつけていく翔太。ふたりは渋谷マークシティの方へ~
翔太:(渋谷もずいぶん変わったなぁ。・・・あっ、エレベーターに乗った)。待ってください!乗ります!
~思わず飛び乗る翔太。が、エレベーター内は混んでいて女性の顔が確かめられない~
翔太:(エレベーターを降り、さりげなくふたりを追い越して)・・・なんだよ。別人じゃないか。Aのやつが変なこと言うから・・・! いつの間にか知らないオフィスフロアに入ってきちゃったよ。不審者と思われないうちに帰らなきゃ。
~看板を見つける翔太~
翔太:ん?『30代パパとママのためのマンション経営セミナー』だって。さっきのふたりもココに入っていったのか。マンション経営・・・こんなところでセミナーとかやってるんだなー。
「30代のパパとママ・・・ウチと一緒だ!」~PM10:00 自宅リビングにてくつろぐ翔太と汐里~
翔太:(小声で)蓮、寝た?
汐里:久しぶりのばぁばとの晩御飯だったからはしゃいだみたいで・・・疲れて今日はすんなり寝てくれたわ。
翔太:そっか、おつかれさま。ハーブティー淹れたから、よかったら飲んで。
汐里:わぁ、ありがとう。・・・どうしたの、今日は優しいね。
翔太:えっ?いや・・・今日、実は汐里と似た人を渋谷で見かけてさ。
汐里:ふうん・・・?
翔太:夫婦でマークシティのオフィスビルに入っていったんだ。
汐里:あ・・・!もしかして私と間違えたとか?「浮気だ~!」なんて?(笑)
翔太:うっ。ま、まぁ一瞬だけね。で、その行先が『30代パパとママのためのマンション経営』ってセミナー会場でさ。
汐里:30代のパパとママ・・・ウチと一緒だ!
翔太:この間のバーベキューで聞いたんだけど、Bのやつマンション経営、やってるらしい。
汐里:へぇ~。なにやら同期で盛り上がってると思ったら・・・保険の話じゃなかったの?
翔太:俺も詳しくは知らなかったんだけど、団信ってやつがあって、投資用ローン組むときに入るんだけど、生命保険の代わりになるらしい。一般の生命保険と保障も変わらないし、保険料も安いんだって。
汐里:そうなの?でも、マンション経営だなんて・・・マイホームもまだなのに。
翔太:それはBも同じだよ。うちの会社は30代のうちは転勤もあるし、賃貸か社宅って人がほとんどだから。
汐里:そうだとしても、これからの蓮の教育費に備えて、家計とか保険をどうするかって話だったでしょ。どうしてマンション経営なんて話になるの?
翔太:いや、俺にもしものことがあっても、家賃収入が毎月入るのってよくない?
汐里:ええ~・・・?
~第5話につづく~