第12話「ひとり立ちするために、いま私に必要なもの」

「これが私のものに…?」~土曜am10:00 新大久保~
美咲:地図だとそろそろこの辺だけど…。
麻衣:あ、もしかしてあれかな?
美咲:ホントだ。新築だし。でも、なんだか思った以上に…。
麻衣・美咲:おしゃれ!
麻衣:(笑)。ハモっちゃったね。
美咲:まさかでも、ここまでカッコいいなんて。
麻衣:うん。やっぱり実物は違うねぇ。
ベージュで落ち着いてるんだけど、この斜めの模様がちょっと他にない感じ。
美咲:うん…。あ、福家さんが待ってくれてる。
麻衣:ホントだ。こんにちは!
美咲:今日はよろしくお願いします。
福家:お休みの日にありがとうございます。では、中へどうぞ。
麻衣:(エントランスに入って)……すごい。
美咲:なんていうか…高級ホテルの入り口か、美術館みたい。
福家:(ニコニコしながら)ありがとうございます。
ラグジュアリーなデザインにこだわっております。
麻衣:こんなところに住んでると、出かけたり
帰ってくるたびに嬉しくなっちゃいますね。
美咲:ホントに…(これが私のモノに…?)。
~部屋の中に入る3人~
福家:こちらが、城山様にお申込みいただいたワンルームのお部屋です。
麻衣: わぁ、中もパンフレットよりずっとイイ!
美咲:ホントね。スペックは分かってたけど、実際に見ると。
福家:こちら、内装材も一般的な賃貸住宅より
高いグレードのものを使っております。
麻衣:確かに、高級感ありますね。
美咲:白が基調でシンプルなんだけど、品がある感じ。
麻衣:あ、オートバスもついてる!いいなぁ。
福家:はい!他にも宅配ボックスやハンズフリーキーなど、
入居者様から人気の高い設備を揃えました。
美咲:そう言えば、セキュリティはどんな感じなんですか?
福家:オートロックはもちろん、カラーモニターでお部屋から
来訪者を確認できますし、防犯カメラも計8台設置しております。
麻衣:いま住んでるうちのマンションより万全だね(笑)。
美咲:これなら、女性の入居者にも気に入ってもらえそう。
麻衣:新宿の大企業にお勤めの女性!
役職なんかもついてたりして…憧れちゃう。
美咲:なんだか、やっと実感が湧いてきたわ。

「共同生活も、もうすぐ終わりかな」~マンション内覧の帰り道~
麻衣:ステキなマンションだったねぇ。
もう契約はしたんだっけ。
美咲:いま申込みして、銀行の審査をしてるところかな。
麻衣:そっか、ローンの審査か。
そこからの流れってどんな感じなの?
美咲:福家さんに聞いたところによると、まず売買契約と、
サブリース契約、併せて銀行とローンの契約をするみたい。
麻衣:なるほど。で、入居者が住み始めたら家賃収入が入るってこと?
美咲:ううん。サブリースだから、入居者がいる・いないに関わらず
家賃収入が発生するって。
麻衣:そっか!それはイイね。
いつ家賃が入るんだろう…なんてヤキモキしなくてもいいんだもんね。
美咲:そうなの。買った後も、確定申告の時とか
繰り上げ返済の相談にものってくれるそうなの。
麻衣:アフターフォローもちゃんとやってくれるんだ。
そっか…これからはプロに相談できるんだから、
一緒にお金のこと調べるのも終わりだね…(しんみり)。
美咲:マイ…。
麻衣:結婚しちゃったらふたり暮らしも終わりだし、
分かってたことなんだけどなんだか、さみしいね。
美咲:そんなコト言わないでよ~!私までさみしくなっちゃう。
離れてもずっと、親友なのは変わらないんだから!
麻衣:ミサキちゃん!ありがとう。…困らせてゴメンね。
美咲:いいのよ。さぁ、せっかく新大久保に来たんだし、
チーズタッカルビ食べて帰ろうよ!
麻衣:…やった!私行きたいお店があるんだ!
美咲:って、切り替え早いね(笑)。
麻衣:あと、デザートにホミビンでしょ、
コスメショップも行きたいし…。
美咲:分かった、今日はとことん食べて、買い物しよう!

「ひとり立ちするために、いま私に必要なもの」~半年後の日曜日 am10:30 教会のガーデンで~
司会:…それでは、新婦によるブーケトスを行います。
おふたりの幸せがいっぱい詰まったブーケ。
キャッチする幸運な方はどなたでしょうか?
では、掛け声をみなさまご一緒にお願いします。…3、2、1!
(ブーケを投げる美咲。ブーケは弧を描きながら麻衣のもとへ)
麻衣:(なんとかキャッチ)……!
ミカ:おめでとうマイ。マイが受け取るなんて、最高じゃない!
美咲:(振り返って)マイ、受け取ってくれてありがとう。
麻衣:ミサキちゃん…ありがとう。
ミカ:おめでとうミサキ。ドレス姿、すごくキレイ。
美咲:ありがとうミカちゃん!ふたりとも今日は楽しんでいってね。
これからデザートビュッフェもあるから。(新婦席へ)
ミカ:やったね!お料理も美味しかったし、期待しちゃう。
(麻衣に向き直りながら)ね、マイ。…あれ、どうしたの。
麻衣:うん。…ねぇ私、これからしっかりするね。
ミカ:いきなりどうしたの(笑)。
麻衣:ずっとミサキちゃんに甘えてばかりだったから。
ミカ:そっか…エライじゃん。
麻衣:ミサキちゃんが引っ越しちゃったから実家に戻ってたけど、
マンション探して、ひとり暮らしから始めようかなって。
ミカ:うん、うん。
麻衣:お金のこともミカちゃんに教えてもらって、ミサキちゃんとも
せっかく勉強したんだから、活かしたいって思ってるよ。
ミカ:そうだね。いっそのこと、マイもマンション買っちゃうとか?!
麻衣:ええ~!ミカちゃんったら。
でも…そっか、それもアリかも!
ミカ:いいんじゃない。価値が落ちにくいマンションなら。
末永く自分の財産になってくれるなんて、大切な友達みたいじゃない。
麻衣:ホントだ…さすがミカちゃん、いいコト言う!
私も始めてみようかな…マンション経営。
~終わり~