東京オリンピック決定時からの不動産価格上昇エリアは?
東京都心のマンション価格高騰が続いています。2020年の東京オリンピックまで上がり続け閉会とともにバブルが弾け値崩れを起こすとも言われていますが、果たして本当でしょうか。今回は東京オリンピックが決定してからの価格上昇エリアについてご紹介します。
マンション高騰、いつまで?
マンション価格高騰の「立役者」は、相続税対策の日本人富裕層と円安を背景にした外国人投資家だといわれています。資産価値が下がる前に売却することを目的としている投資家もいるため、そのタイミングが東京オリンピック開催時で、売り希望が殺到し大暴落が起きるのではないかという意見があります。
しかし、「暴落しない」とする不動産関係者もいます。理由は、東京都心は転出する人よりも転入する人のほうが多い「転入超過」エリアのため、長期に渡る家賃収入を目的とした投資家も多く「マンションの急激な需要の減少は考えづらい」ということです。暴落が起きたとしても「五輪決定をきっかけに急激に上昇したところ」に限られるのではないかという声もあります。
千代田・中央・港・新宿・渋谷といった元々価格が高い超都心エリアは、高騰した後は高止まりすると見られています。実際にこのエリアでは、売られる土地も極端に減っているそうで、土地を手放さず賃貸で活用しようとする土地オーナーの姿が浮かびます。
上昇エリアはどこ?
では、オリンピック決定で不動産価格が急上昇したエリアはどこなのでしょうか。
真っ先にあげられるのは、大型マンションが続々と建設されている湾岸エリアです。選手村の設置が決まっている晴海や勝どき、会場となる予定の有明、辰巳のほか月島、豊洲、芝浦などです。
オリンピック開催が決定した2013年9月前後、同年1月から2014年12月にかけての月島の住宅価格指数の上昇率は20.9%と、東京都の平均8.5%を大きく上回りました。以下豊洲が16.8%、勝どきが14.1%、芝浦が9.5%と続きます。一方で辰巳は5.1%、有明は4.5%となっており、臨海部の中でも状況に違いがあります。
東京スカイツリーに近い墨田区の押上や錦糸町エリアも、都心へのアクセスが良く人気のエリアです。錦糸町エリアの公示地価平均は2014年から3年連続で上昇しています。それまで5年連続で下落していたことを考えると、やはりオリンピックの影響が考えられそうです。とはいえ他の都心エリアに比べると相対的に価格は低いエリアです。
最近大きく町並みを変えている注目エリアが、品川と田町です。両駅の間に2020年をめどに新駅が誕生することが発表された2014年から、それまで下がり続けていた地価が上昇しています。田町駅周辺では再開発が進行中で、大型マンションの引き渡しも始まっています。2027年には品川-名古屋間でリニア中央新幹線が開通する予定があり、オリンピック後の「将来性」も充分といえそうです。
まとめ
では、価格が急上昇した月島や豊洲が「暴落危険地域」といえるのでしょうか。ある不動産関係者は、既に不動産が購入しにくくなっているパリやロンドン、ニューヨークの例をあげ、「東京もそうなるだろう」と予想しています。外国人投資家は世界の状勢を知っているので、そう簡単に東京の不動産を手放さないのではないかといわれています。さらに数年後の消費税増税後はマンションの建設件数が大きく減るため、不動産は余らないという見方もされています。オリンピック以降のマンションの大幅値下げは、あまり期待できないのかもしれません。
このように注意すべき点はあるものの、先に述べた上昇エリアを中心に不動産業界は盛り上がりを見せています。今後も、オリンピック開催に伴い不動産市場へどのような影響があるか注目していきましょう。
(写真=PIXTA)
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