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2016.04.25

不動産の生前贈与と相続はどちらがお得? メリット・デメリットを徹底比較

生前贈与

 2015年1月の相続税法改正で、今まで相続税とは関係なかった方も納税の対象となる可能性が出てきました。これを受けて「生前贈与」によって財産を圧縮し、相続節税につなげようという人が増えているようです。

 個人から個人へ財産を渡す方法は、大きく分けて2つあります。「贈与」と「相続」です。贈与とは、自分(贈与者)の財産を無償で相手(受贈者)に与えることを言います。相続とは、人が亡くなった時に、故人(被相続人)の配偶者や子など(相続人)が、故人の財産(遺産)を引き継ぐことです。また上記の「生前贈与」は、相続対策や遺産分割対策を目的とした贈与の場合を指し、遺贈(遺言による贈与)と区別する意味で使われます。そして贈与には贈与税が、相続には相続税が発生します。

 では、財産の生前贈与と相続は、どのような違いがあるのでしょうか。両者のメリットとデメリットを比較してみたいと思います。

生前贈与(一般贈与)のメリット・デメリット

 生前贈与の最大のメリットは、生前から計画的に準備ができることにあります。一般贈与(通常の贈与)にかかる贈与税は「暦年課税」といい、1年間の贈与額の合計が110万円までならば申告は不要で、贈与税はかかりません。そのため、10年間で1人当たり最大1100万円の財産を非課税で贈与できます。贈与の相手が多いほど非課税にできる額も増え、節税効果は高くなります。逆に贈与する相手や期間が少ないと効果は薄くなります。

 ここで注意することは、贈与後3年以内に相続が発生した場合、その贈与分は相続財産に加算され、相続税の対象になってしまいます。近い将来に相続の発生が予想される場合は贈与を急ぐこともが必要です。

生前贈与(相続時精算課税制度)のメリット・デメリット

 上述の一般贈与の他に、一度に多くの財産を非課税で贈与できる制度があります。「相続時精算課税制度」といい、一定の条件に該当する場合に選択できます(申告が必要となります)。

 これは、高齢者の資産をスムーズに次の世代に渡すために設けられた制度で、その背景には次世代の消費活動・経済活動の活性化につなげようという政策的な狙いもあります。贈与を受ける側からすると、相続を待たなくても早めに財産を有効活用できるからです。

 相続時精算課税制度は、一般贈与と比べると次のメリットがあります。

・ 一度に多額の贈与ができる
 2500万円までの贈与は贈与税がかかりません。
 ※非課税分は相続時に再計算されるため、相続税の節税対策にはなりません。

・ 財産移転がスムーズにできる
 早期に多額の財産を移転できるため、相続での遺産分割協議を避けることが可能です。

・ 相続税対策につながる(収益物件の贈与の場合)
 贈与後の物件からの収益(家賃収入など)は受贈者のものとなり、贈与者の(将来相続するはずだった)収益にはならないため、間接的な相続税対策になります。

・ 資産の値上がり分を節税
 相続時の精算は、資産を贈与した時点の価格が加算されるため、将来的に値上がりが見込まれる資産の贈与であれば、その値上がり分の相続税は回避できることになります。

 次に、デメリットや注意すべき点です。

・ 贈与者・受贈者に条件がある
 財産を贈与する側(贈与者)は60歳以上の親または祖父母、贈与を受ける側(受贈者)は贈与者の推定相続人の中で20歳以上の子または孫に限定されます。一般贈与にはこれらの制限はありません。

・ 暦年課税を適用できなくなる
 本制度を選択した場合、それ以降は同じ贈与者からの贈与には上記の「暦年課税」を適用できません。すなわち毎年110万円の非課税枠を利用できなくなるのです。ただし、贈与者が違えばその限りではありません。例えば、父からの財産には相続時精算課税を使い、母からの財産には暦年課税を使うというケースです。

・ 相続税の計算に贈与分を加算しなければならない
 この制度は、本来は相続時に引き継ぐ財産を生前に贈与し、実際の相続発生時(贈与者が亡くなった時)に精算することで、贈与税と相続税を一体化させるものです。したがって相続時には、相続遺産に加えて生前贈与を受けた財産を加算して相続税を計算しなければなりません。しかし、遺産が相続税の基礎控除(3000万円+法定相続人の数×600万円)以下の人には、控除枠内の贈与分は非課税となるためメリットは大きいです。

・ 不動産贈与の移転コストが高い
 相続であれば登録免許税の0.4%のみですが、贈与の場合は登録免許税が2.0%に上がり、さらに不動産取得税もかかります。

その他の生前贈与

 生前贈与には、一般贈与や相続時精算課税制度の他、贈与税の配偶者控除や、住宅等取得資金、教育資金の非課税制度もあります。いずれも非課税枠が大きいので、併用も合わせて検討してみてください。

・ 配偶者控除
・ 住宅取得等資金の非課税
・ 教育資金の非課税

 なお、生前贈与では、「あげたつもりが、あげたことになっていない」という事例が多く見られます。その場合、税務署は生前に「贈与があった」とは認めず、亡くなった人の財産であるとして相続税を課す可能性が高いので、贈与があった事実は必ず残しておきましょう。

相続税のメリット・デメリット

 「相続」の最大のメリットは、基礎控除額が大きいことです。2015年1月から基礎控除が減額されましたが(3000万円+法定相続人の数×600万円)、それでも配偶者と子供1人の場合は4200万円が非課税となるため、一般的なマンションの1室くらいであれば相続税は一切発生しません。

 特に不動産の場合は、上述の通り、贈与に比べて移転コストが低いのも大きなメリットです。登録免許税は軽減されますし、不動産取得税の負担がありません。

 相続のデメリットは、相続税の納付期限が、被相続人の死後10か月以内と短いことです。亡くなってすぐに故人の財産の話はしにくいのが人情で、「改めて、49日が過ぎてからに……」となりがちです。相続人全員がすぐに集まれる環境なら問題はありませんが、離れている場合は一堂に集まる機会は持ちにくく、まして海外に居住している相続人がいたりするとなおさらです。

不動産の遺産相続で気を付けること

 相続人で財産を分けるためには「遺産分割協議」が必要になります。遺産分割協議とは、故人(被相続人)の遺言がない場合に、誰がどの財産をどれだけ相続するかを相続人全員で話し合って決めることです。協議での決定事項は全員の合意が必要で、その内容は文書にしなければなりません。

 遺産分割協議の場には、相続人の配偶者が同席することが多いようです。親子や兄弟であれば、それぞれ家族内での貢献度を知っていますが、配偶者は結婚後の家族関係しか理解していませんので、どうしても法律上の権利意識が先に立ち、協議がまとまりにくくなりがちです。「争族」となって裁判所の調停の話にでもなれば、納税期限の10カ月はあっという間に来てしまいます。

 特に不動産の相続の場合、相続人で共有してしまうと、資産価値が減少してしまうので注意が必要です。全員の合意がないと売れませんし、自分の持分だけの売却も困難です。

 なお、相続にも「遺贈」という、遺言で財産を贈与する制度があります。この場合、贈与を受ける側は相続人に限らず、第三者への遺贈も可能です。ただし不動産の場合は登記手続きが必要ですが、相続では「遺産分割協議書」があれば単独で登記申請できるのに対し、遺贈の場合は受贈者と相続人全員との共同申請になり、手間がかかります。

 また、遺言があっても他の相続人から遺言に異議があれば、いつでも裁判所へ異議申し立てをすることが可能ですので、確実に財産を渡すには不安定な方法と言えそうです。

まとめ

 生前贈与が得か、相続が得かを考えるには、まずご自分の財産について、何かどれだけあるかを把握することからです。今は、生前贈与と相続の両方を検討できる貴重な時間。「相続なんてまだ先のこと、相続対策など縁起でもない」と思わないでください。相続は突然やってくるものです。後から「相続税がこんなにかかるなんて!」と驚いても遅いのです。

 「争族」を避けながら効果的な節税をするためには、生前贈与と相続のタイムラグを利用し、両方を上手に組み合わせましょう。早めの対策をすることが、財産を残す人にとっても、残される人にとっても、いずれ必ず来る時を安心して迎えられるのではないでしょうか。

(写真=PIXTA)

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