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2016.04.09

タワーマンション節税に規制~課税強化で売れ行きは変わるのか?

タワーマンション

2015年11月上旬、国税庁がタワーマンションを使った相続税対策、いわゆる「タワーマンション節税」での行き過ぎた節税行為には課税を強化するように、という指示を国税局に出したことが報じられました。直後にタワーマンション施工・販売に実績のあった不動産業銘柄の株価が大きく値を下げ、大きな話題となりました。

この国税庁の指示からまもなく半年が経ちます。果たしてこの指示は、タワーマンションの販売動向にどの程度の影響を与えるのでしょうか。今回は、「タワーマンション節税」の概要や規制強化の背景、そして今後のタワーマンションの売れ行きについて考えてみたいと思います。

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不動産の2つの価格評価

「タワーマンション節税」を理解するには、不動産の相続時の評価のされ方と、市場売却価格の付け方の2点を押さえる必要があります。

タワーマンションにおける、売却価格(市場価格)と、相続時の資産価値とは別物です。不動産の相続時の資産価値を「不動産の相続評価額」といいます(以下、評価額)。評価額は、土地と建物別々に求める必要があります。土地については、以下の方法で算出します。

土地評価額の算出方法 = 敷地全体の評価額 × 所有している部屋の持ち分割合

まず、マンション敷地全体の評価額を算出します。これに所有している部屋の専有面積分の割合を算出します。これがタワーマンション全体における所有部分の評価額となります。建物に関しては、それぞれの購入する専有面積(床面積)で評価額を算出するため、床面積が同じであれば2階でも30階でも評価額は同一です。

結果、専有面積が同じであれば、低層階でも高層階でもタワーマンションの評価額(土地+建物)は変わらないことになります。

次に、売却価格の算出についてです。タワーマンションの売却価格では、「高層階ほど高い値がつく」という特徴があります。見晴らしや眺望も良く、解放感があり、セキュリティ性も高い…高層階は誰しも憧れる「資産家のステータス」となるのでしょう。

一方、上述の通り、相続税評価額は高層階の部屋も低層階も変わりません。タワーマンション節税は、以上の特徴を踏まえて「相続発生前にタワーマンションの高層階を購入する」ことが大切です。ただし、継続的にこれを所有するのではなく相続したのち、相続人はマンションを売却します。結果、そのまま相続税課税対象となる現金を相続した時に比べ、相続税を大幅に抑制できるのです。

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タワーマンション節税の何が問題なのか?

タワーマンション節税は、マンションの相続税評価額の特徴を生かした一つの節税方法であり、この方法自体違法性のあるものではありません。冒頭に述べた「指摘」を国税庁が行ったのには、2つの理由が考えられます。

1. 利用できるのは富裕層だけ
タワーマンション節税は高層階を購入するため、購入資金のある「富裕層だけ」が活用できる節税方法です。2015年の相続税の基礎控除削減も後追いとなり、このまま放置すると「公平な税負担を欠く」との判断から、追徴課税の指示が出たと考えられています。

2. 相続直後の売却
相続直後の物件売却自体は咎められるものではありません。しかし、一部メディアでは、「購入後の居住実績もないまま、相続後に売却」という「財テク」の面が強調されていました。雑誌などでも「タワマン節税に注目」といった言葉が多数躍りました。現在の住居を上手に使った節税というよりも、「税金逃れ」という印象を世間に持たれてしまったために、当局としても野放しにできない状況になった可能性があります。

まとめ― 「タワーマンション節税」はどうなるのか

日本経済新聞(2015年11月3日)によると、国税庁は「行き過ぎた節税策と判断されれば、今後は相続税が追徴課税される」と伝えている通り、相続の直前に被相続人によって購入され、相続後短期間で売却されたタワーマンションは「行き過ぎた節税」として追徴課税される可能性が高そうです。

マンションの売れ行きへの影響は、日が浅いこともあって統計上はまだ十分に把握できていません。しかし、今回の国税庁の通達によって、相続税の節税目的でのタワーマンションの購入は、少なくとも一時的には下火になると思われます。また、不動産会社も節税目的による購入の案内ができなくなっているそうです。

他方、日銀によるマイナス金利の実施後、住宅ローンの金利が史上最低水準を更新しており、実需でのマンション購入は増えていくことが予想されます。首都圏でのマンション価格が上昇し、需要が高まっていた昨今の状況を踏まえると、節税目的でのタワーマンション購入の買い控えがマンション市場全体に与える影響は、軽微なものにとどまるかもしれません。今後の売れ行きを注視していきましょう。

(写真=PIXTA)

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