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2016.04.08

マイナス金利は不動産投資環境にどのような影響を及ぼすのか

マイナス金利

 日本銀行は2016年1月29日、「マイナス金利0.1%」を電撃的に発表し、金融市場には驚きが走りました。2月16日の実施以降、市場は次の一手を待ち構えているかのようです。

 EU諸国の中には、マイナス1.1%(スウェーデン)やマイナス0.75%(スイス)など、日本よりもマイナス幅が大きいマイナス金利を実行している国もあります。日本のマイナス金利も「マイナス2%まではあり得るのではないか」との声も出始めています。ここでは、安倍政権の金融・経済政策(アベノミクス)を振り返りながら、日銀が実施したマイナス金利が今後、不動産市場にどのような影響を与えるのか解説していきます。

日銀が安倍政権と二人三脚でやってきたこと

 安倍政権(第2次政権)が2012年12月に発足し、2013年4月に日本の中央銀行である日銀(日本銀行)に黒田総裁が就任して以降、安倍政権と日銀は二人三脚で金融政策を実行してきました。

 安倍政権のアベノミクスの要諦は、大胆な金融緩和による景気刺激策にありました。政策が実施されると、企業収益が上昇、その収益が従業員に対する賃上げによって分配され、分配された分が消費に回り、国内消費が拡大してデフレから脱却するというものです。海外進出しているような大企業の収益から改善し、やがて、国内の中小・零細企業にも行き渡る、いわゆる「トリクルダウン理論」に基づいたものと言われています。

 アベノミクスによる異次元金融緩和策の結果、円の価値は1ドル80円台から120円台まで40円も下がりました。確かにこの円安は、日本企業が海外で稼いだ利益を「大きく見せる効果」があったことは事実でしょう。多くの大企業が史上最高益を記録したのは、外貨で稼いだ収益を「円換算」した結果というわけです。

実質GDPは年率でも横ばいに

 果たしてアベノミクスは日本経済を成長させているのでしょうか?

 内閣府が2月15日に発表した2015年10~12月期の実質GDP(国内総生産)の速報値は、前期比マイナス0.4%、年率換算マイナス1.4%減になりました。このところ、3カ月毎に発表される実質GDPはプラスになったりマイナスになったりしているのですが、2015年1年間の実質GDP成長率は、前年比0.4%と2年ぶりのプラス成長でした。とはいえ、2014年は前年比マイナス0.1%でしたので、この2年間は横ばいだったと見るべきでしょう。

日銀のマイナス金利0.1%の効果

 今回、日銀が決めたマイナス金利の措置は、銀行が日銀に預ける「超過準備預金」の一部250兆円のうち10兆円について、マイナス0.1%の“手数料”を取る政策です。狙いは銀行の資金を投資や融資に向かわせるということにあります。

 マイナス金利の導入は確かに刺激的ではありましたが、効果があったのかは、時間が経たないと判断できないでしょう。「マイナスの実質金利は民間需要を増やす」(黒田総裁)ということについては、一応の政策合理性はありますが、日銀は物価上昇率2%(インフレターゲット)の達成目標を1年先送りしています。

 これまでの異次元緩和に加えて、今回のマイナス金利をどの程度続けるつもりなのか。日銀が「あらゆる手段を取る」と言っている限りは、この金融緩和が継続されることは間違いないでしょう。今、市中で増加した資金をどのようにビジネスに活かすのか、個人としても企業としても考えるタイミングなのではないでしょうか。

金融機関は不動産に資金を回し続ける

 実際、2月21日の日本経済新聞の報道によると、2015年の銀行による不動産業向けの新規貸し出しは、バブル期の1989年を超えて10兆6730億円に達し、26年ぶりに過去最高となりました。

 住宅やオフィスビルの需要が底堅いことから、「融資しても採算が取れる」と金融機関が判断したからでしょう。延べ融資残高も、15年末に65兆7102万円となりました。日経新聞によると、18年ぶりの過去最高額であり、国内銀行による融資全体の約14%を占めているそうです。マイナス金利の導入は、さらにこの動きを加速させそうです。

 また、長期金利は2月に入ってマイナスに転じています。長期金利が指標である住宅ローンの引き下げ競争も激化しています。3月1日から三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行などのメガバンク4行は、10年固定型の優遇金利を過去最低の年0.80%としました。また、三井住友信託銀行も10年固定型の最優遇金利を過去最低の0.5%にしました。今後も住宅ローン金利の引き下げ競争は続く可能性があります。また、メガバンクがネット専業銀行の住宅ローン金利を下回る金利を提示するのは久しぶりで、不動産の需要喚起が強まると予想されています。

個人による貸し家業に対する融資残高も21兆円に

 他にも日銀のデータによると、銀行による「個人による貸し家業」に対する融資残高が、15年末で21兆652億円に達しています。これは、不動産業に対する融資残高の3分の1という大きなものです。

 GDPの影に隠れていますが、国民総所得(GNI)は、2014年はマイナス0.1%と横ばいでしたが、2015年実質成長率は、前年比2.4%と2年ぶりにプラスとなりました。海外からの実質純所得がプラス要因として働いています。

 不動産市場では、何やら成長の芽が出てきているような印象です。株式や不動産、金(ゴールド)などの現物投資を勧める「個人のための資産防衛策」が推奨されていますが、中でも、実需を伴った不動産投資は低成長下でも十分に機能する資産防衛策と言えます。

不動産投資の環境は追い風が吹いている

 今回のマイナス金利の導入で、金融機関は金利を払うくらいなら貸し倒れのリスクはあるにせよ、少しでもプラスのリターンが期待できる企業・家計向けの融資に当座預金の資金を振り分けようとするでしょう。ただし、円安効果で企業の業績が改善していても、必ずしも日本国内の景気が大きく回復しているわけではありません。企業への設備投資を含んだ融資は、与信リスクもあって、慎重にならざるを得ません。

 その点、より確実な資金回収が見込めて、担保も取れる不動産などへの融資の割合は、今後さらに増えていくと考えられます。

 2015年は、銀行や信用金庫の不動産業向け新規融資額が過去最高となりましたが、今年に入って実施されたマイナス金利の影響で、金融機関にとって数少ない「優良融資先」である不動産業への融資は、今後も積極的に行われることでしょう。

 不動産の投資環境は追い風です。きっと風をうまく捕まえた投資家は、大きな利益を獲得することになるでしょう。

(写真=PIXTA)

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